根尾「ピッチャー専念」にオレ流と闘将のカゲ 中日「立浪監督」長期政権への皮算用

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元セーブ王からダメ出し

 中日の立浪和義監督が、6月9日に放送された地元テレビ局のインタビューで言及したプロ4年目の根尾昂の起用法に波紋が広がっている。「自分は、主はピッチャーでやっていきたいなと思っています。打てなくても守備さえ良ければショートを任せられるんですけど、現状そこまでの守備力はない。もちろん(現時点で並行して)野手の練習をすることが後にピッチャーをやるとしても無駄になることはない」と二刀流から投手一本に絞るサプライズ構想を明かしたからだ。これのほどまでに「ピッチャー根尾」に固執する指揮官の思惑とは――。

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 立浪監督は昨秋の就任時、根尾は外野一本と宣言した。ところが、課題の打撃で力不足を露呈すると、開幕後には遊撃手に。そして、交流戦前には投手を兼ねた二刀流と、起用法は二転三転している。二刀流挑戦でさえ、球界では否定派が圧倒的多数だった。それがプロ入り時に断念したはずの投手専念とは、思い付きにしか映らないようで、とりわけ中日OBの鈴木孝政氏は舌鋒鋭く批判する。

 通算124勝、最多セーブも獲得した元投手は、地元のラジオ番組で「ちょっと違うんじゃないかと思うんだけどなあ。甘くねえぞって」と“立浪プラン”にダメ出しした。返す刀で、上体に頼り、下半身を使えていない根尾のフォームの欠点を指摘。「大阪桐蔭で投げていたといっても(相手打者は)プロですから。ぽっと来て1軍で投げて活躍するなんてことはちょっと考えられない。考えたくもない」と言語道断と言わんばかりだ。
 
 別の元選手も同調する。コーチで中日のユニホームに袖を通したOBは「根尾が150キロを投げられるとしても、それだけではプロでは通じない。制球力、変化球の質、けん制を含めた守備など1軍のマウンドに立つためには克服すべき課題が山ほどある。ここまでの根尾の登板を見る限り、1軍レベルの投手にはほど遠い」と断言。「立浪監督の契約は3年。契約期間中にものになると本気で考えているとは思えない」と首をかしげるしかない。

因縁の監督を反面教師に

 プロ経験者から次々に疑問の声が上がる中、核心を突いているように聞こえるのが古参のチームスタッフの言葉だ。

「立浪監督は落合(博満=元監督)さんを反面教師にしているのではないか。在任した8年間、全てAクラスでリーグ優勝は4回、日本一にもなった。勝つことが全てという信条だった。それでも、最後はファンサービスへの理解が足りず、面白みに欠けた采配として事実上、解任となった。立浪監督は同じ轍を踏みたくないのだろう。ピッチャー根尾が話題集めになることは確かで、集客にもつながり、球団に営業的な手腕をアピールできる」

 立浪監督は現役時代の晩年、落合監督に三塁のレギュラーを剥奪された。溝は深く、後に確執を認めている。

「因縁がある落合さんへの対抗意識もピッチャー根尾の底流にあるように思える。ファンサービスや集客に貢献した上で優勝すれば、監督として落合さんを超えた証しになると考えているふしがある」(同)

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