根尾「ピッチャー専念」にオレ流と闘将のカゲ 中日「立浪監督」長期政権への皮算用

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根尾は捨て石?

 ピッチャー根尾の奇策に批判が高まるが、その一方で、実はリスクは小さい。

「昨季までの根尾は、与田(剛)監督の下での3年間で野手として芽が出なかった。そもそも、立浪監督が昨春の臨時コーチで指導した時点で、打撃面は半ば、さじを投げていたという。プロ選手としては崖っぷち。万が一、ピッチャー根尾が当たれば、そのまま立浪監督の手柄となり、外れてもダメ元だからとなる。根尾は監督の株を上げるための格好の捨て石」(名古屋の放送局関係者)

 この関係者は根尾が岐阜県出身のご当地選手であることにも着目する。

「近年の低迷もあり、特に岐阜ではチームの勝敗より根尾の動向への関心が高い。(ドラゴンズの親会社の)中日新聞が地元紙などと競っている岐阜で、根尾の投手挑戦の話題は短期間でも部数を伸ばす可能性がある」

闘将・星野監督を見習う

 立浪監督は1988年、故星野仙一監督の1次政権時代にプロ入りした。星野監督はルーキーイヤーに正遊撃手に抜てきした恩人で、自身の監督像の確立においても大きな影響を受けている。

「星野さんは中日スポーツの1面への話題提供に心を砕いた。第2次政権下で主力だった立浪監督も、その姿を見ていた。今の中日は全国区の選手が皆無に近い。ただ、甲子園のスターだった根尾の知名度は健在で、目新しい話題は1面に堪える。新聞勧誘のセールストークにもなる。岐阜を意識した紙面制作は重要で、立浪監督はそこに貢献する現場トップとの評価が得られる。親会社とも深い関係を築き、長く監督を務めた星野さんに倣おうとしているのではないか。特に立浪監督は就任まで時間を要しただけに、一度手にした監督の座を手放したくない気持ちが強いと思う」(星野監督時代の番記者)

 多くの球界関係者がピッチャー根尾には懐疑的で、プロアマでの輝かしいキャリアから王道の野球を期待された立浪監督にしては不可解なアイデアと捉えている。しかし、それも長期政権を画策する指揮官がオレ流や闘将から学んだ処世術ならば、腑に落ちるというものだ。

デイリー新潮編集部

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