4年前の「ひょっこりはん」が最後…一発屋芸人が現れなくなった3つの理由

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そして3つめの理由は…

 3つ目の理由として、子供や若者のテレビ離れというのもある。娯楽が少なかった時代には、多くの子供や若者が流行の発信源であるバラエティ番組をチェックしていた。だが、今はそのような風潮がなくなりつつある。

 一発屋芸人が世の中に広がるためには、子供や女子中高生が真似したりするというのが不可欠だ。今でもそういうことがないわけではないのだが、子供が見られる時間帯に放送されるネタ番組がまだまだ少ないため、そこから芸人が出てくることがない。

 ある程度まで売れる芸人はいても、それが大ブレークにまでつながらないのは、広げるための媒介となる子供や若者がテレビを見なくなっている、というのが大きいのではないだろうか。

 ただ、一発屋芸人が出てこないことは、必ずしもお笑い界にとって悪いことではない。そもそも一発屋芸人とは一種の蔑称であり、言われていい気分がする人はいないだろう。芸人が内面を掘り下げられる前に、飽きられてテレビから消えてしまうというのは、本人にとっては不本意なことだ。

 それよりも、たしかな実力があってキャラクターも認められている芸人の方が多くの活躍の機会を与えられているというのは、ある意味では健全なことだ。大きい「一発」を当てることが難しくなり、お笑い界は実力本位のサバイバル時代に突入しつつあるのだ。

ラリー遠田
1979年、愛知県名古屋市生まれ。東京大学文学部卒業。テレビ番組制作会社勤務を経て、作家・ライター、お笑い評論家に。テレビ・お笑いに関する取材、執筆、イベント主催など多岐にわたる活動を行っている。お笑いムック『コメ旬』(キネマ旬報社)の編集長を務めた。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり 〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』(イースト新書)、『逆襲する山里亮太』(双葉社)『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)など著書多数。

デイリー新潮編集部

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