「高級ステーキ」が自販機で買える? 驚異の技術革新の実態に迫る

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アメリカ発のラーメン自販機が上陸

 当初、全国展開する計画ではなかったそうだが、話題性の高さから問い合わせが月に数百件と予想以上に多かったため、エリアを広げた。メディアの取材も多く、テレビで紹介された翌日は本社前に設置した2台分で日に約650万円を売り上げたことも。

 す、すご過ぎる。

 さらにシリーズ第2弾として、今度は冷凍弁当自販機「ベントーツアーズ」の企画もスタートさせた。幕の内駅弁の始祖といわれる「まねき食品」(兵庫・姫路市)とタッグを組み、兵庫県の地元名物の食材を使った弁当を丸山製麺本社前の自販機で販売。かくて実家の経営を立て直した3代目の挑戦は続く。

 今はやりの自販機は、この「ヌードルツアーズ」をはじめとして冷凍食品の販売が主流。つまり、食べるには調理が必要だ。そんな中、ついに店のような出来立てを提供するアメリカ発ラーメン自販機「Yo-Kai Express(ヨーカイエクスプレス)」が日本に上陸。第1号機が今年3月、羽田空港第2ターミナルにやって来た。一体、どんな味? 羽田へGO!

 メニューは塩や味噌味など4種(取材時)。どれも790円で、支払いはクレジットカードなどで決済するキャッシュレスだ。醤油味を購入し、待つことおよそ90秒。何やら自販機内から蒸気が出るような調理音が聞こえたかと思うと、あっという間に扉が開き、ラーメンのご登場。いざ。

 鶏ガラ仕立てのスープは驚くほど熱々。具はチャーシューとメンマ、ほうれん草も入っている。正直言えば、湯を注いだだけでできるインスタントのカップラーメンみたいな味を想像していたが、いやいや麺はツルッと滑るような食感で本格的。魚介系ダシの風味もあって滋味深い。

一風堂とのコラボ

 はて、自販機でどう調理しているのだろう。

 日本で事業開発を担当する土屋圭司さんが説明する。

「中に各種のラーメンが冷凍状態で入っていて、独自のスチーム技術でメニューごとに異なった加熱調理をしています。豚骨なら細麺ストレート、味噌は縮れの太麺など使う麺も違う。出来立てのおいしさを短時間で仕上げるため、日本の食品メーカーと共同で味を開発しました。事前にどこまで準備し、自販機内でどう調理したらいいか試行錯誤も重ねました」

 今後は麺の硬さやスープの濃さなどを選べるシステムも検討している。夏前には博多豚骨ラーメン「一風堂」とコラボした味もラインナップに加わる予定。

 アメリカではすでに50カ所ほどに設置され、日本では首都高速の芝浦パーキングエリアにも常設が決まった(現在は一時休止)。

「駅構内や、人の出入りが24時間あるオフィスやホテルなど、今後5年間で国内5千カ所の設置を目指します」

 それにしたって、コロナ禍で激変した人々の暮らしがこうも自販機ビジネスを加速させるとは。

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