選挙対策が裏目の「日歯連」 骨太方針に「国民皆歯科健診」をねじ込んで批判殺到

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 経済財政運営の指針、いわゆる「骨太の方針」が6月7日、閣議決定された。岸田政権になって初の“骨太”となるため、注目が集まっていたが、肝心の中身はこれまでの方針をなぞるものばかりで、名前負けの感が否めない。その一方で、「骨」ならぬ「歯」に関するある文言が盛り込まれたのだが――。

国民皆歯科健診

 その一文は、方針の「持続可能な社会保障制度の構築」という項目の中にある、

 <全身の健康と口腔の健康に関する科学的根拠の集積と国民への適切な情報提供、生涯を通じた歯科健診(いわゆる国民皆歯科健診)の具体的な検討>

 というもの。この文章、一見するとごもっともと言うべき内容にもみえるが――。

 政治部デスクが解説する。

「この文章、菅政権の骨太にもほぼ同じ内容が書かれていたのですが、今回新たに加わったのは、カッコで括られた、『いわゆる国民皆歯科健診』という文言。この一言を巡り、ひと悶着あったのです」

 ことの発端は、5月29日に産経新聞が報じた、「<独自>『国民皆歯科健診』検討開始へ 骨太方針」という記事。この文言が、骨太に組み込まれることを事前に抜いた、いわゆるスクープネタだ。冒頭を引用しよう。

<政府が6月上旬にまとめる経済財政運営の指針「骨太の方針」に、全国民に毎年の歯科健診を義務付ける「国民皆歯科健診」の導入に向け、検討を始める方針を明記することが29日、分かった>

「問題視されたのは、この中の、“全国民に毎年の歯科健診を義務付ける”という表現です。つまり、歯科健診が国民の義務として定められるわけですから、義務を果たさない国民には、罰則を用意しなければならない。歯科健診が大切なのはわかるけど、そこまでやるのか、と」

 実際、この記事が出た直後、「忙しくて毎年行けない」、「病気で外に出られない人もいる。そういう場合どう対応すればいいのか」といった意見や苦情が、日本歯科医師連盟(以下、日歯連)に殺到したという。

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