「朝起きられない」の原因は副腎疲労の可能性が エナジードリンクは逆効果?

ドクター新潮 健康 その他

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40代に多く見られる

 このように副腎は、その不調によってさまざまな症状を引き起こしますが、発症原因の主なものとしてはストレスが挙げられます。仕事上のストレスに限らず、家族や大切な方、ペットとの別れ、介護の負担なども副腎疲労の要因になります。

 人間の体は、ストレスを感じると脳の視床下部→脳下垂体→副腎という流れで「コルチゾールを出せ」という指令が下され、充分に分泌されると逆の流れで「もう大丈夫」というフィードバックが行われる仕組みになっています。ところが常にストレスにさらされていると、延々と「出せ」という指令が続き、フィードバック機能が働かなくなり、コルチゾールが過剰分泌されて脳から副腎への司令系統が疲れてしまうのです。

 もうひとつ、腸内環境の悪化も副腎疲労の大きな原因と考えられます。腸内環境が悪化すると腸に慢性炎症が起こり、抗炎症作用を持つコルチゾールが大量分泌されてしまうからです。

 ストレスが主因であるためか、働き盛りで、責任ある立場を任される年齢であり、親の介護や死別などの機会が増える40代の方に、副腎疲労になる傾向が多く見られる特徴があります。

 また、40代になると加齢により細胞内のミトコンドリアが減少します。ミトコンドリアは副腎の細胞内でコレステロールを材料にコルチゾールを作り出す一方で、全身の細胞ではATP(アデノシン三リン酸)というエネルギー源も作ります。そのミトコンドリアが減るため、40代に副腎疲労が多いのだと思われます。

中高生でも副腎疲労になるケースが

 しかし、最近では中高生にも副腎疲労になるケースが目立ちます。スマホやパソコンを長時間使うことで、強い覚醒刺激であるブルーライトを大量に浴び、ホルモン分泌が大きく乱れるせいでしょう。中高生の場合、朝起きられず不登校になり、まさに「怠け」だと指摘されて病院に行くと、多くは自律神経の乱れによる「起立性調節障害」と診断されることが多いようです。しかし、その裏には副腎疲労が潜んでいることが珍しくないのです。

 では、副腎疲労にはどう対応すればいいのでしょうか。いくつか具体的に紹介したいと思います。

 まず、元気が出ないからといってエナジードリンクを飲むことは副腎疲労の悪化につながり、逆効果といえるでしょう。エナジードリンクに含まれる大量のカフェインは無理やりコルチゾールの分泌を促します。これは健康な方の副腎を酷使して疲労させることになり、予防の観点からもまずいですし、すでに副腎疲労になっている方もますます副腎を痛めつけることになってしまいます。

 また、ダイエットのためにゼロカロリー飲料を飲んでいる方も要注意です。ゼロカロリー飲料などには人工甘味料が含まれているものが多く、これは腸内の細菌の環境をガラッと変えてしまう作用があるため、腸内環境の悪化を招く恐れがあります。したがって、タンパク質不足を補うためにプロテインを取る場合は、人工甘味料不使用で、腸の炎症を引き起こしやすいカゼインが使われていないものがお薦めです。

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