防衛費“5兆円増”で自衛隊が購入すべき兵器は? 専門家が「トマホーク」を挙げる理由

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ミサイルの改良

「意外に思われるかもしれませんが、自衛隊はトマホークを持っていません。このミサイルは水上艦からも潜水艦からも発射が可能です。無人で目的地に誘導できるのは、ドローンと同じです。海上自衛隊の護衛艦がトマホークを積み、日本海を航海すれば、北朝鮮が受けるプレッシャーは相当なものがあるでしょう」(同・軍事ジャーナリスト)

 増額した防衛費を研究・開発費に振り向けることも可能だろう。北朝鮮に睨みをきかせるという意味では、陸上自衛隊が持つ12式地対艦誘導弾の改良が考えられるという。

「陸上から敵艦を狙うためのミサイルですが、様々な改良が研究されています。その一つに航続距離の延長があり、今の約200キロを1500キロまで伸ばそうという計画があります。距離を伸ばし、航空機に搭載できるようになれば、戦闘機のF−2が、九州上空から北朝鮮の基地を攻撃できるようになります」(同・軍事ジャーナリスト)

戦車の問題

 ここからは陸上戦を考えてみよう。ウクライナ軍がドローンや対戦車ミサイルを活用し、ロシア軍の戦車を多数、撃破した。この戦訓から「戦車無用論」を導き出す関係者もいるが、これは極端すぎるという。

「ウクライナ侵攻でも、東部戦線は戦車や榴弾(りゅうだん)砲が戦果を発揮しました。北海道で想定されるロシア軍との戦闘でも同じでしょう。戦車がいいとか、ドローンがいいとか、一方に決めるべきものではありません。戦車、ドローン、対戦車ミサイルの全てを均等に充実させていくべきでしょう」(同・軍事ジャーナリスト)

 まず戦車だが、自衛隊では第2世代の74式戦車、第3世代の90式戦車、第3・5世代の10式戦車が稼働している。防衛省は74式を10式に置き換える方針を採っている。

「そもそも戦車の数が減らされているという問題があります。近々、本州では戦車が実質0台となります。その上で、10式は確かに高い性能を持っています。例えば、各戦車がネットワークでつながっており、1台の10式が敵を発見すれば、他の戦車も敵の情報を共有することが可能です。74式を10式に置き換えるという方針は間違ってはいませんが、時間がかかるという欠点があります」(同・軍事ジャーナリスト)

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