防衛費“5兆円増”で自衛隊が購入すべき兵器は? 専門家が「トマホーク」を挙げる理由

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ドローン兵器は急務

 侵攻してきたロシア軍に対し、ウクライナ軍はドローン兵器を効果的に活用して撃退した。この“戦訓”は多くの国に衝撃を与えた。もちろん日本も学ぶ必要がある。

「自衛隊はドローン兵器の活用という点では、かなり後れを取っています。攻撃能力を持たない偵察用のRQ−4『グローバルホーク』が青森県の三沢基地に3機、配属されたばかりです。おまけに航空自衛隊の通信システムが時代遅れのため、RQ−4が送ってくる膨大なデータを処理できないとも言われています。まずはシステムの早急なバージョンアップが必要でしょう」(同・軍事ジャーナリスト)

 中国軍は既に国産のドローン兵器を運用しており、尖閣諸島付近を飛行している様子が確認されている。

「偵察タイプだけでなく、攻撃能力のあるドローンも配備が必要です。例えばMQ−9『リーパー』は長い航続距離と高い監視能力だけでなく、攻撃能力も兼ね備えています。ロシア軍が侵攻してきた際の北海道防衛はもちろん、尖閣諸島の防衛でもMQ−9は活躍が期待されます。まずはアメリカ軍が鹿児島の鹿屋航空基地で運用を開始する計画ですが、航空自衛隊の本格配備は急務でしょう」(同・軍事ジャーナリスト)

北朝鮮にはトマホーク

 MQ−9は北朝鮮への“抑止力”になりうる可能性もあるようだ。

「自衛隊が“敵基地攻撃能力”を保有すべきかどうか、国会でも議論が続いています。ただ、北朝鮮への抑止力を考えれば、保有すべきであることは確かです。北朝鮮が発射したミサイルを撃破するより、発射しそうだという情報をキャッチしたら、ミサイル基地を爆撃して潰すほうが確実です。北朝鮮も『日本は我が国のミサイル基地を攻撃する能力がある』と理解すれば、抑制的な行動を取る可能性が期待できます」(同・軍事ジャーナリスト)

 たとえ敵基地攻撃能力の保有が国会の議論で認められたとしても、有人機による北朝鮮爆撃はリスクが大きい。

「北朝鮮の敵機撃墜能力も、かなり整備されているという情報があります。そもそも、敵国の爆撃はリスクが高いのです。撃墜され、パイロットが捕虜になったりすると、北朝鮮は“人質”として利用することができます。一方のMQ−9なら、たとえ撃墜されても無人です」(同・軍事ジャーナリスト)

 北朝鮮にプレッシャーを与えるとすれば、巡航ミサイル「トマホーク」の配備も検討すべきだという。

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