懐かしい「ブックマッチ」が生産終了へ ご存知ない方のために製造会社に聞いた

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 若い方は“ブックマッチ”をご存知だろうか。箱入りの木軸ではなく、二つに折り畳んだ表紙に挟まれた紙製のマッチだ。指ではじいて片手で点火するのが流行った時期もあったが、最近では滅多に目にすることもない。そんな中、国内で唯一、ブックマッチを生産していた会社が製造をやめるという。ネット上では残念という声が拡がっている。

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 きっかけは、5月23日にツイートされたマッチ製造会社のつぶやきだった。

《弊社では約49年に渡り作らせていただいたブックマッチは6月受注分を最後に製造終了してしまいます。/同時に、日本からブックマッチ製造の灯が消えることになります…安価で携帯しやすく、広告面もしっかりと取れる為、様々なお店でご愛用いただき誠にありがとうございました/とても寂しいです…。》

 日東社(本社・兵庫県姫路市)の公式Twitterだった。1923(大正12)年にマッチ製造会社として創業した日東社は、来年100年を迎える。なぜブックマッチの製造をやめるのか、同社に聞いた。

――ネット上では製造中止を惜しむ声が拡がっている。注文も増えているのではないか。

「取引先には半年以上前にお知らせしていましたが、それによって受注が増えたわけでもありません。ブックマッチは一般の方が注文される商品ではないので……」(日東社・工場長:以下同)

――考えてみれば、ブックマッチを購入した記憶がない。喫茶店やスナックなどで、灰皿とともに差し出されるものだったからだ。

「広告宣伝用として、店名や電話番号などを表紙に印刷するのがブックマッチでした。お店で煙草も吸えなくなり、需要が減ったというのが製造中止に至った理由です」

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