「前田会長の改革はNHKを壊す」…職員有志の告発が視聴者の共感を呼ばない理由
告発に共感できる点も
一方で、今回の告発で共感できたのは、災害報道までコストカットの対象になっている点への批判と、職員採用の「放送」「技術」「管理」の職種別採用の廃止だ。NHKの命綱ともいえる災害報道でヘリの配置を打ち切る姿勢には確かに疑問を感じる。四国の松山放送局のヘリ廃止は、ヘリが配備されている広島から近いという理由もあるとみられるが、南海トラフによる大地震発生の可能性が高まっている中、今削減の対象にすべきではないのではないか。また、新人職員を記者や総務、編成の区別なく配置するやり方は、民放では珍しくないが、NHKでは無理があると感じる。まさに災害報道や事件報道で、取材経験のない職員が配置されていきなり臨機応変に対応できるとは思えない。報道の現場を知らない前田会長は、数年単位で複数の部門を渡り歩く公務員などと同じレベルで考えているのではないか。体を張って制止する幹部がいてもいいと思う。
ただ、全体を通して〈NHKとは受信料で成り立つ、国民にとっての共有財産であると信じています〉〈NHKは、決して国のものではなく、職員、ましてや前田会長の所有物でもありません〉と大上段に構えながら、職員の保身が優先されている感が否めなかった。世界的にはイギリスのBBCが受信料を廃止して課金制への移行に向けた作業を始めた動きもある。NHK内部でもこうした改革の必要性を感じる職員は増えていると聞く。
NHKが「公共メディアへの進化」を掲げる前の2017年ごろ、私が所属していた職場で「NHKが生き残るにはどうしたらいいか」をテーマに議論されたことがあった。しかし、本来は「NHKが視聴者から必要とされるにはどうしたらいいか」とすべきはずだ。前田会長の進める改革が視聴者を置き去りにしているなら、現場を最もよく知る職員有志が核となって対案を検討し、公表してはどうか。より視聴者の共感を得られるのではないかと思う。
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