キーウ市長、ボクシング世界王者時代に見せた不屈の精神 4年間のリハビリ…復帰戦で世界王座を奪回(小林信也)

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キーウの地下鉄

 小泉は4年前(2018年)、WBC総会のため、キーウを訪れた。

「キーウ市長で元世界王者のビタリは総会のホスト役でした。大画面にルイスとの一戦が映し出され、ルイスも登場して試合を回想する企画がありました。対戦した二人が語り合うなど滅多にないことです」

 小泉は地下鉄でホテルと会場を往復した。

「地下鉄にはビックリしました。ずいぶん深いところまで降りました。そして、走り始めたらものすごいスピード。暴走列車のような勢いでした」

 昨今しばしば映し出される中央広場の下はスーパーマーケットになっていた。小泉はそこで大好きな文房具を選んだ。

「機能的なシャープペンシルが日本円で100円か150円くらいで売られていた。デザインはシンプルだけど、ペン先が長くて芯が折れにくい。ウクライナ人の嗜好を表しているように感じました」

 小泉は「文武両道を実践するビタリの無事を祈って」、そのシャーペンを使い続けている。

小林信也(こばやし・のぶや)
1956年新潟県長岡市生まれ。高校まで野球部で投手。慶應大学法学部卒。大学ではフリスビーに熱中し、日本代表として世界選手権出場。ディスクゴルフ日本選手権優勝。「ナンバー」編集部等を経て独立。『高校野球が危ない!』『長嶋茂雄 永遠伝説』など著書多数。

週刊新潮 2022年5月26日号掲載

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