空から“30センチの魚”が降ってきた…試合中に起きた“生き物ハプニング”

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騒ぎをものともせずにプロ初完封

 その後も“襲撃犯”のカラスは、ハトの巣がある天井付近を悠然と飛行し、バトルの際にもげた羽根がパラパラと落ちてくる様子が、テレビ中継の画面を通じても、はっきり見て取れた。

 羽根は一、二塁間のみならず、中田翔が守っているレフト周辺にも散乱。中田は「カラスがハトを追いかけていた。羽根が一杯落ちていた。鳥インフル危ないよ」と言いながらも、羽根拾いを手伝っていた。

 間もなく球場職員が傷ついたハトをビニール袋に収容し、グラウンド清掃後、ようやく試合再開となった。ところが、5回表が始まる前に、カラスが別のハトに襲いかかり、2羽目のハトが三塁後方に落下したため、またしても試合中断……。

 そんな騒ぎをものともせず、西武の先発・菊池雄星は、5回以降日本ハム打線を散発2安打に抑えてプロ初完封。その後も6月12日の中日戦で、9回1死まで無安打無失点に抑え、オールスター前までに9勝を挙げるなど、まさに“飛ぶ鳥を落とす勢い”だった。

100羽の野鳥がグラウンドを急襲

 鳥の大群が球場に集まり、対応にてんてこ舞いになったのが、17年8月30日の楽天対西武である。8回表の西武の攻撃終了後、降雨で試合が25分中断したのが、すべての始まりだった。

 ようやく雨脚が弱まったので、グラウンド整備後、西武ナインが守備位置に就いてノックを始めたが、ここでまさかのハプニングが起きる。

 中断中にどこからか集まってきた野鳥の群れ約100羽が、我が物顔でグラウンドを低空飛行。セカンド・浅村栄斗、ショート・源田壮亮、センター・秋山翔吾のすぐそばを行ったり来たりするため、避けたり、身をかがめるなど、野球どころではなくなった。

 球場係員が鳥を追いかけ、「ファウルボール注意!」の警笛を吹いたが、効果はなし。バックスクリーンから花火を打ち上げても、鳥たちは退散する様子もない。西武ナインは仕方なく、いったんベンチに引き揚げることになった。

 その後、“最後の手段”で球場の照明を落とし、真っ暗にすると、鳥たちはようやく上空へ。さらにドローンを飛ばし、追い払うことに成功した。

 そして、降雨中断と“鳥騒動”による約1時間のロスが、4点ビハインドの楽天に大きな恵みをもたらす。

 再び雨脚が強くなるなか、制球がままならず苦しむシュリッターから安打と2四球で2死満塁のチャンスをつくると、オコエ瑠偉の2点タイムリー二塁打、岡島豪郎の2点タイムリーで、8対8の同点。そのまま降雨コールドで試合終了となり、辛くも3位転落を免れた。梨田昌孝監督も「何とか徳俵で残ってくれました」と鳥に感謝していた。

 一方、不運な中断で勝利と2位浮上をトリこぼした西武・辻発彦監督は「結局、鳥の時間だろ。照明も消して……。この展開なら、こっちは負けた気分」とボヤキが止まらなかった。

久保田龍雄(くぼた・たつお)
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍「プロ野球B級ニュース事件簿2021」上・下巻(野球文明叢書)

デイリー新潮編集部

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