芳野友子・連合会長に内部から不満噴出 関係者は「このまま会長を続けたら連合はバラバラになる」

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連合会長を守る自民党の思惑

 一方、2022年の運動方針に「連合との政策懇談を積極的に進める」と盛り込んだ自民党。連合内での芳野批判の高まりと比例して、芳野会長を守ろうという動きが出てきている。自民党幹部は語る。

「自民党にとって話の通じる芳野さんは貴重な存在。茂木敏充幹事長が自分も会食したいと言い出したが、『芳野さんの立場が悪くなるから今は良くない』と止めました」

 岸田政権は参院選後には、憲法改正に向けた動きを本格化させる方針だ。与党色を強めている国民民主党、そして、その背後にいる芳野会長の存在は不可欠。日本維新の会との対決姿勢が強まればなおさらだ。ただ、こうした思惑が見えてしまうことが、連合内部での芳野批判に説得力を与えてしまっている。

問われる芳野会長の手腕と、連合の体質

 連合は700万組合員を抱えるナショナルセンターだ。そのトップが男性であれ女性であれ、組織の混乱を招くようでは資質が問われることになる。個人の考えを時に抑えてでも、秩序や伝統を守り、組織をまとめなければならいこともある。

 しかし、労働組合の組織率はかつて50%以上あったものが、2021年には16.9%にまで落ち込んでいる。連合傘下の組合員もピーク時より100万人以上減っている。様々な考えや利害の異なる労組を抱える中で連合が今後どのように求心力を保ち、労働者に寄り添い、政策を実現していくのか、抜本的な見直しが求められている。また、「共産党と連携したら広く国民の支持は得られない」とか「政策を実現するためには批判と対立だけじゃだめだ」という感覚は、世界情勢が混沌とする中、日本という国そのものが岐路に立つこの時代に極めて一般的だろう。

 新しい感覚を持つ連合会長として、連合の組織のあり方や体質を変え、新時代に導くことができるのか。それとも異端の会長として成果もなく混乱を残して弾かれてしまうのか。就任時に言及した「ガラスの天井」を本当の意味で破れるのかどうかは、芳野氏のこの後の手腕と、700万組合員一人一人の意識に掛かっている。

青山和弘(あおやま・かずひろ)
政治ジャーナリスト 星槎大学非常勤講師 1968年、千葉県生まれ。元日本テレビ政治部次長兼解説委員。92年に日本テレビに入社し、野党キャップ、自民党キャップを歴任した後、ワシントン支局長や国会官邸キャップを務める。与野党を問わない幅広い人脈と、わかりやすい解説には定評がある。昨年9月に独立し、メディア出演や講演など精力的に活動している。

デイリー新潮編集部

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