芳野友子・連合会長に内部から不満噴出 関係者は「このまま会長を続けたら連合はバラバラになる」

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自民党との接近

 さらに、芳野会長が注目を集めたのは、自民党との接近だ。芳野会長は「政策実現のために共産党を除く政党に協力を求めるのは当然だ」と繰り返し、自民党との接触にも逡巡がない。小渕優子組織運動本部長、麻生太郎副総裁との会食が明らかになったのに加えて、今年4月に自民党の「人生100年時代戦略本部」に講演に出向いたことは連合内部で波紋を広げた。冒頭に触れたように、「自民党に利用されるだけで軽率だ」との危機感を覚えた2人の会長代行が出席を思いとどまるよう求めても、芳野氏は「何が悪いの」と意に介さなかった。連合関係者は語る。

「2人の会長代行のうち松浦(昭彦)さんはUAゼンセン出身で旧同盟系。その松浦さんの進言もはねつけた意味は大きい。連合内に芳野会長はだめだというムードが広がった」

 連合加盟労組の一つ、全国ユニオンの鈴木剛会長は芳野氏の姿勢を厳しく批判する。

「話し合いが必要な時はあるが、自民党は基本的に財界や経営者の利益を代表する政党。自民党政権で非正規雇用は増え、労働者の賃金は上がらなかった。そんな政党に無方針に接近するのは間違いだ」

囁かれる「芳野降ろし」

 こうした中、連合関係者によると参院選の後には会長人事を決める役員推薦委員会を動かそうとする、「芳野降ろし」の動きも出てきているという。連合関係者は「このまま会長を続けさせたら、連合がバラバラになってしまう」と話す。

 ただ、「初の女性」「初の中小企業出身」と鳴り物入りで就任した芳野会長を、任期2年を待たずに本当に引きずりおろすのか。立憲民主党のベテラン議員は「本人を説得できない限り、無理に辞めさせるのは内外にハレーションが大きい。2期目はないということで落ち着けるのがいいのではないか」と語る。ちなみに神津前会長は3期6年務めている。

「そんなことしたら連合は完全に信頼をなくしますよ!」

「芳野降ろし」の情報に、芳野氏と親交が深い矢田議員は憤りを隠さなかった。

「連合が共産党と相容れないのは当たり前です。それに自民党と接近していると言うけど、芳野さんは政策を真ん中に置いて、等距離で各党に理解を求めているだけじゃないですか。すべて労働者のためです。女性だから目立っているだけで、男性の会長だったらこんなに批判されたでしょうか」

 芳野氏は矢田議員に「批判には慣れているから」と明るく話しているという。ただおひざ元の「ものづくり産業労働組合(JAM)」からも疑問の声が出るなど、気にならないわけがない。矢田議員は「ここで怯んではあかん」と芳野氏を励ましている。

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