マンウィズ「オオカミ人間」が不倫で謝罪、自粛という奇妙さ

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 不倫報道もここまできたか、と感じた方も多いのではないだろうか。

 5月16日、文春オンラインは、人気バンド、MAN WITH A MISSION(以下、マンウィズ)のベーシスト、Kamikaze Boyが妻子ある身でありながら20代女性と不倫関係にあると報じた。

 人気ミュージシャンの不倫ということ自体はまったく珍しくない。が、今回の場合、バンドのキャラクターがキャラクターだけに、違和感をおぼえる人も多かったようだ。

 5人組バンドのマンウィズは、全員がオオカミの仮面を常に被っている。ステージ上でもテレビ出演時でも中身は見えない。素顔や本名その他属性は公表されていない。

 公式HPのバイオグラフィーには「人間なのか? 狼なのか?」とか「究極の生命体」といった表現がある。

 要するに頭はオオカミ、体は人間という超人たちが演奏している、というバンドが提示したSF的な設定をファンは受け入れて、楽しんでいるのである。高い演奏力には定評力があるが、おそらく「中の人」が入れ替わっても、ほぼ気付かれないという特殊なバンドだ。

 逆にいえば、知名度などを売りにして、モテようとしても難しいという面もあるかもしれない。

 意中の相手に対して「俺、マンウィズでベース弾いているんだぜ」などと言っても、信用してもらえるかどうかは微妙なところだ。

 しかしながら、今回の報道を受けてのバンド側の対応は、普段の愉快な設定とは裏腹に、意外なほどのマジメさが目立つ。

 まず16日にはすぐに公式HPで、以下の謝罪コメントを発表。

「日頃より応援してくださっている皆様、そしてご支援を頂いております関係者の皆様には多大なるご迷惑とご心配をおかけしております事を深くお詫び申し上げます。

 本人も責任の重さや失ったものの大きさを痛感し、自覚無き行動をした事を深く反省しております。

 今後この様な事が無いよう、バンドメンバー、スタッフ一同、本人と共に皆様方からの信頼回復に努めてまいる所存でございます」

 さらに19日には「このたびの当メンバーBass / Kamikaze Boyに関する報道を受けまして、当面の間、当メンバーの活動を自粛させていただくことに致しました」と自粛まで発表してしまったのである。

 もともと、ロックミュージシャンや芸人が不倫をしたからといって、謝罪や自粛をすべきなのかという疑問を呈する人は少なくなかった。そこへきて、今回の場合、ほぼ誰も当人の顔すら知らない。設定上は人間でもない存在が、どこかの誰かと浮気をした、というだけのことで、仕事を自粛してしまうという事態は前代未聞だろう。

 脳科学者の中野信子氏と国際政治学者の三浦瑠麗氏の対談本『不倫と正義』でも、この種の問題については取り上げられている。以下、ニ人の発言を一部抜粋してみよう。

中野:「もちろん、イメージを売ることで報酬を得ている芸能人の場合、不倫に代償が生じるのはやむを得ないんでしょう。夫婦円満、家庭的なイメージでCMに出演している俳優さんとかね。CMを降ろされても仕方がないかもしれない。だけど政治家だったら政治、ミュージシャンだったら音楽、お笑い芸人だったらお笑い、みたいな本業にまで差し障りが出るとなると、それはどうなんだろうとは思います」

三浦:「芸人さんがスキャンダルを起こした場合、『笑えないなあ』というのはあるかもしれないですけど、でも『あいつが番組に出てると不快だから出すな』とかなるとね、ちょっとヒステリックすぎないかなと思いますよね。昔の“不倫スキャンダル”は夫の浮気を妻が『芸の肥やし』として認めるパターンもありましたけど、今ではちょっと考えられない。仮に平穏を守るために奥さんが我慢するという選択肢をとりたくとも、世間にバッシングされるので婚姻関係が壊れてしまう事例だってありえます」

中野:「そもそも芸能をやる人はノーマルから逸脱してるもんじゃないのかって思うところもあるんですけどねえ」

 誰が怒っているのか、誰に迷惑をかけたのか、よくわからないうちに謝罪や自粛したほうが「無難」という風潮が強まって久しい。そのうちウルトラマンや仮面ライダーの中の人まで不倫報道されて自粛しなくてはいけなくなるのだろうか。

デイリー新潮編集部

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