知床遊覧船、捜索費用の数十億円を国が負担か 元船長が新たな“不正”を証言

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「内心、ほっとしているはず」

 ここで、桂田社長を知る人物が、その“腹の内”について気になる話を明かす。

「遺族向け説明会の参加者によると、補償について弁護士が“過去の判例に基づいて行います”と説明しました。その意味するところは“相場の金額以上は払わない”ということです」

 桂田社長はその説明会の席上、1人あたり上限1億円の保険金が出ると説明してもいるのだが、この知人によると、

「補償金は、事故がなければ得られるはずだった収入、つまり逸失利益を考慮して計算されます。とすると、高齢者に逸失利益はほぼないでしょう。社長はちゃんとそのあたりのことを頭に入れて“上限は1億円”との発言をしているんです」

 つまるところ「補償1億円」発言は“見せ金”に過ぎないというのである。

 しかも、それは保険会社が負担するため、社長の懐が痛むわけでもない。

「事故は悪夢の出来事ながら、一方で内心、社長はほっとしてもいるはず。というのも、会社はこないだまで営業許可に最低限必要な上限3千万円の保険にしか入っていなかった。ですが、今年の4月、保険額の上限をたまたま1億円に引き上げていた」(同)

サルベージにかかる数十億円も国が負担か

 社長への“助け舟”となるのは、保険だけではない。

 依然として行方不明のままの12名の捜索や船体の調査のために、海保は民間海難救助会社と8億7700万円で契約を交わしたが、その全額が税金で賄われることとなったのだ。

「船体は水深120メートルの海底に沈んでおり、捜索や調査には飽和潜水という特殊な技術を扱える作業員を投入する必要があります。海保はその技術を有する専門会社と契約したのですが、“捜査の必要性の観点”から全額、国費で負担すると決まったんです」(前出の社会部記者)

 さらに、船体を引き揚げるサルベージ作業にかかる費用は50億円を下らないという試算もある。先の、社長の知人は言う。

「それもやはり、国が負担することになるでしょう。社長の会社には数億円すら払う余裕がないんです」

 家族を失った遺族への補償金が保険でカバーされるだけならまだしも、総額数十億円に達するであろう捜索・船体引き揚げ費用まで血税で賄われようとは……。

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