IKKOが明かす「パニック障害」との付き合い方 「大変な時はだらしなく生きて」

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復習はしない

 そして何よりも、パニック障害になったことによって、私は「復習しないこと」の大事さを学びました。

 もともと私は、部屋の中に髪の毛が1本でも落ちていると許せない超完璧主義者なんです。以前は、仕事の予習はもちろん復習も完璧にしないと気が済みませんでした。ヘアメイクをした後にお客様からお礼の電話がかかってこなかったら、「私のヘアメイクが気に入らなかったに違いない」と不安に駆られる。今から思えば、「あの時こうすればよかった」という復習をし過ぎていたことで不安が膨らみ、それが積もり積もってパニック障害になってしまったと思うんです。

 だから今は、自分のヘアメイクを気に入ってくれるかどうかはその人の感性次第でどうしようもないと割り切り、復習はしないようにしています。やるだけのことはやったんだから、結果は振り返らない。

「大変なときはだらしなく生きて」

 その分、仕事の準備という意味での予習は完璧にしていきます。完璧主義という性格はどうやったって変わらない。だから、復習は気にせず「予習を完璧にする」ことで、私は自分の性格に折り合いをつけているんです。どうすることもできない他人の評価は気にしない。自分のできること以外は「見ざる、言わざる、聞かざる」。これが今の私のモットーです。

 とにかく皆さん、本当に大変な時は、だらしなく生きてください。辛い時は、部屋が散らかっているから掃除しなきゃとか、仕事のあそこがダメだったとか気にしなくていいんです。なかなかだらしなくなれない私を、ある意味では反面教師にしてもらえたらなと思います。

「見ざる、言わざる、聞かざる」

 私も今なお実践中の身です。

IKKO
タレント・美容家。1962年生まれ。ヘアメイクアップアーティストとして活躍。40代でタレント活動を開始する。テレビデビューを果たし、2007年には「どんだけぇ~」が新語・流行語大賞にノミネートされた。

週刊新潮 2022年5月5・12日号掲載

特集「『転機』とするか『折り合う』か『闘う』か…著名人が明かす『病』との向き合い方」より

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