IKKOが明かす「パニック障害」との付き合い方 「大変な時はだらしなく生きて」

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「大丈夫」と書いたメモ

 そして39歳での入院以降、思い切ってハードワークを改めることにしました。1日働いたら2日休んでみるといった具合に。今でも1日15時間働いたりすると目まいがしてくらくらすることもありますが、あの時切り替えたおかげで、地獄のような発作が起きることはありません。

 また、信頼できる心療内科の先生に巡り合えたことも大きかったと思います。先生から「大丈夫」と書いた小さなメモを渡していただき、それを常に胸に潜(ひそ)ませておく。発作が出そうになったらそのメモを思い返し、「大丈夫、大丈夫」と自分に言い聞かせるんです。そうすると不思議と落ち着く。ですから、私のように発作やパニックを起こしやすい方は、やはり、まずは信頼できる心療内科の先生と出会えることが大事だと思います。

 あとはウオーキング。11月29日、寒い時に発作が起きたので、外に出てまた寒い環境に身を置くと発作が出るのではないかという不安から、はじめは外出することすら怖かった。だからといって、それでは生活していけない。まずはスタッフと一緒に家の近くを5分歩くことからはじめ、そうやってウオーキングを習慣づけて、今ではひとりで大きな公園を1時間かけて歩いています。やっぱり太陽の光に当たって身体を動かすと、自然と頭の中の不安は薄らいでいくものなんですよね。

テレビの世界が自分にとっての薬に

 そして、41歳の時にテレビに出させていただくようになったことも、私にとっては大きな転機となりました。それまでは、事務所の経営者として、いつ仕事がなくなってしまうか、弟子をちゃんと育てられるかと、「仕事=プレッシャー」で全く笑うことがありませんでした。

 ところが、テレビ出演の機会をもらい、スタッフの方から「IKKOさん、楽しんでください」と声をかけていただけた。ストイックに美容の仕事をするだけでなく、テレビという新しい世界で「笑っていいんだ」ということを学ぶことができ、重圧から解放された面がありました。実際、テレビに出演した私は笑っていました。美容とは違う新しい世界と出会えたことが、私にとってはひとつの「薬」になったのでしょう。

 ですから、ストイックに仕事に打ち込むことも、もちろん大事ですが、仕事の中にどこか「楽しみ」や「緩(ゆる)さ」を見出すことも大切だと思います。

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