米司法当局に逮捕された「ヤクザ幹部・エビサワ」 実際は「栃木県の2DKアパートに住むチンケな詐欺師」と被害者が証言

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ブラックマネー詐欺

 では、いったいどんなネタを、海老澤は持ちかけてきたのか。

「戦後、中国の国民党が共産党を倒すために、西側諸国が集めた裏金ドルを洗浄する話。海外で使えなくなった古い日本の一万円札、数億円を半値で買い取る話など、枚挙に暇がありません。タイに限らずミャンマーやラオスなど、東南アジアが主な舞台です。札束の写真や取引メールなど見せながら、巧みに持ちかけてくるのです。一時期流行ったブラックマネーの話もありましたね」

 ブラックマネー詐欺は、2010年頃、世界中で流行した有名な詐欺だ。使われるのは黒い紙束。特別な薬品をかけると紙幣に戻すことができるが、薬品が高価なため出資してほしいと持ちかけるのが手口で、日本でも多くの外国人詐欺師が摘発された。

「私たちに持ちかけてきたブラックマネーは、フセイン大統領が隠していたドル紙幣という話でした。実際、見せられたこともありますよ。ただの黒い紙切れにしか見えないんですが、彼の話を聞いていると本当の話に思えてしまうんです」

 最後に「あと100万円足りないんだ」と持ちかけるのが常套句だという。

「種銭として500万円が必要。400万円は自分で何とかかき集めたが、あと100万円あれば上手く運ぶんだってね。最初に出資してしまったら、もう網の中。返ってこない金を取り戻そうとして、どんどん次の儲け話を持ちかけられ、ハマっていってしまう。いつしかマインドコントロール下に置かれてしまうわけです」

俺は日本のヤクザだ

 B氏も16年前に海老澤容疑者と知り合い、10年あまりの間に1500万円も騙し取られた被害者だ。

「パラサイトみたいな男です。ちょっとでも小金を持っているなと思ったら、食いついて離さない。『両替がうまくいけば数億円が入る』と持ちかけられ、タイや香港で一緒に過ごしたことがあります。いつになったら動くのかと待ち続けていましたが、奴はずっとホテルでゴロゴロしているだけ。その間の滞在費は、全部こっち持ちです。驚いたのは、彼が騙していたのは私たち日本人だけじゃないんです。現地にいる外国人たちも『いつになったらカネを作るんだ』と彼に詰め寄ってくる。彼らもデタラメ話を信じ込んでいるんです」

 今回、DEAは、覚せい剤の密輸に関わったとして、タイ人マフィアのソンポップ容疑者を逮捕しているが、A氏、B氏ともに、数年前に海老澤容疑者から紹介されて会ったこともあるという。

「ソンポップも騙されていたんですよ。海老澤は彼に『俺は日本のヤクザだ』とずっと吹聴していました。たぶんソンポップは、アメリカに覚せい剤を持ち込むことができたのですから本物のマフィアだったのでしょう」(B氏)

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