「二階王国」の落日 和歌山IR計画にNOで「次期衆院選は不出馬」「世耕天国」へ

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悲願の衆院鞍替え

 経産相などを歴任した自民党の世耕参院幹事長は2019年の参院選挙で5選目を決めているが、衆院への転出が悲願で、それを隠さない。

「去年の衆院選でも世耕さんにはあわよくばという姿勢があったようですが、そこは自重したというか、波風を立てないことを選んだということでしょう」

 と、政治部デスク。

「それだけに次期衆院選では勝負を賭けるはずです。二階さんとしては3男に地盤を譲りたいとの意向があるようです。が、すでに幹事長の職になく、今回のIR計画否決の一件を見るにつけ、徐々に力はそがれているように映りますね」

 世耕氏は着々と地元での活動を積極化しているようで、

「このまま行けば二階さんは引退して、地盤を引き継いだ世耕さんが衆院に鞍替えということになるでしょう。その場合、出馬を予定していた3男が2025年の参院選に回るというプランも想定されているようです」(同)

 このプランで思い出されるのが、河村建夫元官房長官と林芳正外相との争いだ。

仁義なき戦いへ?

 デスクが続ける。

「参院で当選5回を重ねていた林さんは、首相の座を狙う足がかりとして衆院への転出を悲願としてきました。幾度となく妨害にあってそれが果たされなかったのですが、去年の衆院選では現職の河村さんとの一騎打ちも辞さずという強い姿勢に出て、結果、河村氏を引退に追い込みました。差し当たって世耕さんはそこまで事を荒立てるつもりはないようですが、現職を不出馬に追い込むというシナリオでは共通していますね」

 河村氏の例をおさらいしておくと、保守分裂回避のため、河村氏が立候補見送りをする代わりに長男を衆院比例中国ブロックで処遇する案が浮上した。しかし、自民党の山口県連が反発し、長男は比例北関東での“国替え”出馬を余儀なくされたのだった。

「河村さんや所属する派閥ボスである二階さんとしては、“してやられた”という印象だったことでしょう。山口県内の小選挙区は次期衆院選から1つ減ることが確実。それを前提にすると県内に選挙区を抱える安倍元首相、岸防衛相らにとっては河村家を県外に追いやっておくのが得策だと考えるのが自然でした。で、実際にそうなったというわけですね」(同)

 二階氏が世耕氏に地盤を譲る際にも、こういった“仁義なき戦い”が繰り返されるだろうか。

デイリー新潮編集部

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