「二階王国」の落日 和歌山IR計画にNOで「次期衆院選は不出馬」「世耕天国」へ

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自民からも反対に票が流れ

 4月20日、和歌山県が誘致を進めてきたIR(カジノを含む統合型リゾート施設)計画は、県議会の賛成を得られず、頓挫することになった。計画を推進してきた仁坂吉伸知事はもちろん、その後ろ盾となってきた二階俊博元自民党幹事長の求心力が低下するのは避けられない情勢だ。

 次期衆院選でも地盤とする和歌山3区からの不出馬がささやかれ、その後を世耕弘成自民党参院幹事長が継ぐシナリオが強まっているという。田中角栄を超える、過去最長の幹事長在任期間を誇った二階氏の落日を追った。

 県議会で計画が否決された後に仁坂知事は「県経済を活性化する最大の起爆剤と次なる成長因子を失った」と述べた。それまで知事は「和歌山の長期衰退傾向を食い止めるための起死回生の手段」などと、計画への賛同を訴えてきた。それだけに、否決された理由を聞かれても「反対した人に聞いてほしい」と憮然とし、「計画は国に提出するのに恥ずかしくないほど育ててきた。痛恨の極みだ」と、ショックを隠しきれない様子だった。

 投票への賛成は18、反対は22。IR推進派であるはずの自民党からも反対に票が流れ、否決された格好だ。

知事の背後に二階元幹事長

 最大会派の自民(27人)は今回、党議拘束をかけずに採決に臨んだ。

「IRには賛成でも、資金計画に異議申し立てをする自民の議員は少なくなかったですね。2500室以上の高級ホテルを設け、そこに海外から100万人超がやってくる――という触れ込みでしたが、ほとんどリアリティがなかった。もともと事業主体とされてきた企業が撤退し、カジノ運営経験がない投資会社が主体に祭り上げられた時点で“詰んで”いたのかもしれません」

 と、担当する記者。

「知事のスタンスが誘致ありきだったことも計画への不信感につながったようです。その一方で知事は今年末に4期目を満了するのですが、次期知事選に出馬するのか否かも含め、政局と絡んでしまった点もありますね」

 知事が前のめりになった背後には、二階元自民党幹事長がいる。

「二階さんは知事を支えてきましたからね。自民会派が自主投票になったことは二階さんの力が落ちているということもあるでしょう。代わって台頭してきているのが、世耕さんです」(同)

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