【知床観光船事故】「KAZU I」船体捜索と引き揚げ費用で強欲社長にいくら請求すべきか

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 北海道・知床沖で観光船「KAZU I(カズ・ワン)」が沈没した事故で、産経新聞は5月1日、「知床観光船事故 地形・海流、引き揚げ課題 暗い海中の作業で数カ月も」との記事を掲載した。

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 メディアの関心が船の引き揚げに移ってきたことが浮き彫りになった記事だった。担当記者が言う。

「産経新聞は《家族からは船体引き揚げと船内捜索について強い要望が出ている》とした上で、《課題が山積し、引き揚げには、数カ月を要する可能性もある》と伝えました。具体的な問題点として、現場海域の潮流が複雑であること、億単位の費用を運航会社の知床遊覧船が負担できるのか、などを挙げました」

「KAZU I」は知床半島西側の「カシュニの滝」から約1キロ沖合、水深約115メートルの海底で見つかった。

 乗客14人が発見されたが、残る12人は依然として行方不明。船内に残されている可能性があるものの、海上保安庁の潜水士が潜れる限界は60メートルだという(註)。

 そのため海保は4月30日、100メートル以上の深さでも潜水が可能な「飽和潜水」という技術を持つ民間会社と契約。船内捜索の態勢づくりを急いでいた。

 5月2日には更なる動きが見られた。斉藤鉄夫国交相(70)が対策本部会議で、船の引き揚げに関し「民間業者の専門技術を活用しつつ、国交省の総力を挙げて準備を開始してほしい」と指示したのだ。

意外な“識者”も登場

 また同日には第1管区海上保安本部(小樽)が、業務上過失致死の疑いで知床遊覧船の事務所や桂田精一社長(58)の自宅を家宅捜索した。

「夕方には海保の総務部長が報道陣に対応。記者から『引き揚げ費用について国が一定程度負担することもあるのか』と質問されると、『過去の事例などを見てそういうこともあり得るのではないか』と答えました。これを日刊スポーツが電子版で速報しました」(同・担当記者)

 電子版の見出しは、「【知床観光船事故】国が船体引き揚げ費用一部負担の可能性言及、運営会社での負担が困難の場合」というものだった。

 ここから次第に、「引き揚げの費用は国の負担を前提に進める」という報道が増えていく。

 3日には読売新聞が朝刊に「観光船引き揚げ 国主導 業過致死容疑 運航会社を捜索」との記事を掲載した。

《一連の費用は、飽和潜水による調査までで約8億7700万円。さらに引き揚げの費用がかかる。政府は、知床遊覧船に請求することも検討している》

 引き揚げの費用は果たしていくらかかるのか。この疑問に、意外な“識者”が解説記事を執筆している。元衆議院議員の豊田真由子氏(47)だ。

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