朝ドラ女優の意外な顔……藤田朋子が語る「私が今もワークショップに参加する理由」

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 女優の藤田朋子(56)が活躍の場を広げている。昨年12月に公開された園子温監督「エッシャー通りの赤いポスト」ではオーディションで役を獲得。今年6月公開予定の「極主夫道 ザ・ムービー」のほか、多数の映画公開を控えている。それらは、意外にもワークショップがきっかけになることがあるのだとか。藤田本人が語る。

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 藤田の当たり役と言えば、「渡る世間は鬼ばかり」(TBS)の5女・長子役を挙げる人は少なくないだろう。1990年から2011年にかけて、第10シリーズまで放送された。その後も19年まで断続的にスペシャル特番が放送されたが、昨年、作者の橋田壽賀子氏が亡くなったたことで、29年に及ぶシリーズは幕を下ろした。

 もっとも、彼女の作品はこればかりではない。女優デビューは87年、日本初演のミュージカル「レ・ミゼラブル」で、翌88年にはNHK連続テレビ小説「ノンちゃんの夢」のヒロインに抜擢された、朝ドラ女優なのである。

 一気に知名度を上げた朝ドラが終わると、フジテレビの「君の瞳に恋してる!」、「愛しあってるかい!」といったトレンディドラマに出演し、トレンディ女優に変身。

 その直後にスタートしたのが「渡鬼」だった。キャリアはすでに十分なはずである。そんな彼女が、ワークショップで役を勝ち取ったと明かしたのは園子温監督だった。「エッシャー通りの赤いポスト」の初日舞台挨拶でのことだ。

《作品は、ある映画に出演するためにさまざまな境遇の人々がオーディション会場に集う群像劇。2年前の6月に実際に行われた園監督のワークショップに参加した697人から選ばれた51人が出演した。「自分の代表作になる」と出来栄えに自信たっぷりの園監督は、藤田の参加に「同姓同名の別の人が参加してると思って、よく見たら本人だった。20代の参加者に交ざって頑張っていた」と語った。》(中日スポーツ・21年12月25日付)

 35年ものキャリアを誇る女優がなぜ、ワークショップに参加したのだろうか。

藤田朋子インタビュー

藤田:園監督と一緒に仕事をしてみたいとは思っていましたが、それ以前に、アートな作品を撮影しておられる監督が、私のようなホームドラマのイメージがある女優に興味を持ってくださるのかを知りたかったんです。

――ワークショップは最初から参加したのだろうか。

藤田:そうですよ。申し込みをして、お金を払って、697人のうちの1人でした。監督はすごく丁寧で優しかった。もちろんダメ出しもされます。でも、それは指導すれば直せると考えているから言ってくれるんだと思います。

――無名の若い役者に交ざって?

藤田:園監督のワークショップに限らず、そうなりますね。お互いの名前を知らないからゼッケンに名前付けて、20代、10代後半の子と同じ台本を使って、年齢問わず、男女問わずの演技をするわけです。年齢によって台本の解釈も異なれば、私には普段来ないような役もいただける。勉強させていただいてます。

――なんでわざわざそんなことを?

藤田:ニューヨークにあるアクターズ・スタジオってご存知ですか? 今は俳優・監督・演出家らの養成所のようになっていますが、かつてはアル・パチーノやロバート・デ・ニーロといった限られた俳優の集まりで、自分たちのスキルを磨くために通った場所でした。プロでも精進しないと、やっていけないものだと思うんです。

――それでワークショップに?

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