中日のエース候補 19歳「高橋宏斗」はなぜ急成長したのか

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現役の超一流選手からも高評価

 昨年は12球団でトップのチーム防御率をマークした中日。そんな投手王国で“次世代のエース候補”として期待が高いのが高卒2年目、19歳の高橋宏斗だ。【西尾典文/野球ライター】

 高橋の名前が意外なことで話題となったのは2月のキャンプ中のことだった。メジャーで活躍する前田健太(ツインズ)が以下のようにツイートしたのだ。「YouTubeで紅白戦をちょっと見ただけですが中日の背番号19のピッチャー良くないですか? 吉見さん(※元中日のエース、吉見一起)引退されてるので 新しい選手かな?」(2月12日)。現役の超一流選手が、高く評価しているところに、高橋の非凡さがよく表れている。

 一軍初登板、初先発となった3月30日のDeNA戦は5回4失点で負け投手となるも、4月7日のヤクルト戦は6回3失点でプロ初勝利をマークした。そして、圧巻だったのが3度目の先発となった同20日のヤクルト戦だ。立ち上がりから150キロを超えるストレートで相手打線を圧倒。6回を投げて、村上宗隆のソロによる1失点のみ、8奪三振で自身2連勝を飾った。

 村上との対戦では、3打数2安打1本塁打だったが、ワンアウト二塁のピンチで迎えた4回の第2打席では、内角いっぱいの151キロのストレートで三振を奪っている。次の打席では、ホームランでリベンジした村上も見事だが、若き2人の対決は今後、注目を集めることになりそうだ。

中日がドラフト方針を転換

 高橋の経歴を振り返っておこう。

 高橋は中日の地元、愛知県尾張旭市の出身で、強豪・中京大中京ではエースとして活躍。2年秋にはチームを明治神宮大会優勝に導くと、3年時はコロナ禍で春夏の甲子園大会が中止となったものの、選抜出場校を対象に行われた甲子園交流試合で150キロを超えるストレートを連発する。

 当初は進学希望で、兄の母校である慶応大学の環境情報学部をAO入試で受験したものの、不合格だったことから、プロ志望に切り替えた。これを受けて、中日はドラフト方針を転換。ドラフト1位指名が有力視されていた栗林良吏(当時はトヨタ自動車、現・広島)ではなく、高橋の指名に踏み切った。

 高橋、栗林ともに中日が重視する地元出身の実力者だが、上位指名で入団した高校生投手で戦力となっているのが、岡田俊哉(2009年ドラフト1位)と小笠原慎之介(15年ドラフト1位)くらいしか見当たらないというチーム事情を見ても、将来を考えて、高橋を優先したというのはよく理解できる。

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