中日のエース候補 19歳「高橋宏斗」はなぜ急成長したのか

スポーツ 野球

  • ブックマーク

打ち込まれたルーキーイヤー

 しかし、ルーキーイヤーの高橋は、二軍で14試合に登板したものの、0勝5敗、防御率7.01と全く結果を残すことができなかった。シーズンオフに行われたフェニックスリーグでも、最初の2試合は無失点だったが、3試合目となった10月31日の楽天戦では、4回1/3を投げて被安打10、6失点と打ち込まれている。

 他球団の編成担当は、1年目の高橋について、以下のように分析していた。

「高橋くんは高校時代から有名な選手でしたから、甲子園でのピッチングも映像で見ていました。高校生ではトップの投手でしたね。プロでも、いきなり150キロ以上のスピードボールを投げていましたが、狙ったところにコントロールできるボールが少なかったです。フォームに緩急がなく、投げるリズムも単調で、相手バッターに簡単に合わせられていました。バッターは『いち、にの、さん』のタイミングで待っていれば、ある程度、打てるなという印象でしたね」(他球団のプロスカウト)

 高校生の打者であれば、ある程度スピード、球威で圧倒的することができても、プロではなかなかそうはいかない。このプロスカウトが話すように、昨年二軍戦で打ち込まれた試合を見ても、打者にとって持ち味であるスピードボールが脅威になっていないように感じられた。

“間”が作れるようになった

 では、昨年苦しんでいた高橋がこの短期間で一軍でも活躍できるようになった要因はどこにあるのだろうか。前出のプロスカウトは以下のように話してくれた。

「まずフォームが大きく変わりましたよね。昨年は速いボールを投げようとして体を左右に振る動きが大きくて抜けるボールも多かったのですが、今年はそういうことがなくなりました。(チームの先輩である)藤嶋健人もそうでしたけど、縦に腕が振れるようになってボールの角度が出てきました。また、左足を踏み出し始めてからリリースするまでに“間(ま)”が作れるようになって、バッターもタイミングをとるのが、簡単ではなくなったように見えます。それで150キロのストレートが生きるようになったんじゃないですかね。急に良くなる選手というのはいますけど、短期間でフォームを変えてここまで変わる例は珍しいですよね。ただ、相手チームも当然、研究してきますから、このまますんなりといくとは思えません。やはり、気になるのは変化球ですね。スプリットはいいですけど、他のボールは、まだまだ見せ球にしかなっていません。もうひとつ頼れる変化球をマスターできるか、それが重要になってくると思います」

次ページ:中日のエースナンバー「20」を背負えるか

前へ 1 2 3 次へ

[2/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。