ウクライナ人にとって日本はどんな国なのか 縁もゆかりもない「避難民」が続々入国の事情

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ロシアの報道は危険

 平野さんは、一方で、日本の人にもウクライナに関心を持ってもらいたいとの思いから、国営通信「ウクルインフォルム」で、日本語版のニュースを発信している。

「大学でウクライナ語を勉強した後、ウクライナに渡り、大学院で研究をしながら日本語学科の学生に教えたりしました。その後、在ウクライナ日本大使館の仕事を経て、現在は、英語やスペイン語、フランス語など、いくつかあるウクライナ国営放送の日本語版で編集者を務めています。戦争が始まった今でも、ウクライナ国内の状況を日本人に向けて伝えています」(同)

 平野さんに限らず、戦争が始まってからもウクライナのメディアは報道を続けているそうだ。

「テレビやネットニュースでは、ウクライナのメディアが侵攻を受けた地域の様子などのリポートを続けています。一方で、ロシア側の報道はウクライナで見ることは出来ないようになっており、プロパガンダに惑わされることを防いでいます。2014年のクリミア侵攻以降に、ロシアの偽情報が国内に広まってはいけないということで、ウクライナ政府がロシア側の報道へアクセスすることに制限をかけました。当時は、ロシアのプロパガンダを目にして、クリミア侵攻が正しいことだと信じてしまう人が少なからずいました」(同)

 現在、ウクライナ国内ではロシア側の報道にアクセスが出来ないようになっている。

「この政策に対しては、反対意見もあったのですが、現在ロシアが荒唐無稽な主張ばかり繰り返していることから考えると賢明な決断だったと思います。親ロシア派で、そちらの情報を信じるという人も数パーセントはいるものの、多くのウクライナ国民は、ロシア側の報道は危険だと認識しています。今回の侵攻が始まってからも、ロシア側は膨大な偽情報を流していますが、NYタイムズやヒューマン・ライツ・ウォッチなど、国外のメディアや団体が、ロシア側の主張の誤りをすぐに検証して報じています。日本の報道でも、かつてはロシア側の偽情報に基づいた主張が、両論併記のような形でそのまま掲載されることがありました。しかし、今回の侵攻に関しては、誤りの根拠が同時に示されるように改善されてきているように思います」(同)

デイリー新潮編集部

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