「悪役キャラ」淘汰が進む芸能界で若槻千夏が再ブレークの理由 旧バラエティー女王の頼もしさ

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 木下ほうかさんを始めとして悪役が本当の悪人だったことが次々に明らかになってしまった芸能界で、悪役キャラは本当に激減した。マツコ・デラックスさんや有吉弘行さんの毒舌はトーンダウンし、坂上忍さんや立川志らくさんはMCを卒業。炎上キャラで鳴らした加藤紗里さんもいまや過去。むしろ優等生ぶりが目立っていた小島瑠璃子さんが「あざとい」と嫌われ役に転落するなど、芸能界の悪役ポジションはずいぶんと様変わりしている。

 しかし悪役というか嫌われキャラを貫いているのが、若槻千夏さんだと思うのである。ギャンギャンとまくしたて、妙に立ち回りが上手くてうさんくさいというキャラからあまりブレない。体調不良による活動休止を経ての結婚・出産、アパレル進出等を経てのカムバックだったが、最初はリハビリのように見えていたひな壇も今は独壇場。バラエティー女王と呼ばれた2000年代初頭のように、高くがなるような声でツッコミ続ける圧の強さは健在だ。最近では「ラヴィット!」の火曜レギュラーにも抜擢され、お茶の間における存在感を増している。

 一方で現代のバラエティー女王と呼ばれる女性たちには、ひとつの共通したスタンスがある。テレビ出演にはあまり興味がない、という消極的な姿勢だ。みちょぱやめるるのような20代は特に、好かれようとせず自然に繰り出すリアクションが受けている。フワちゃんはYouTubeという戻れる場所があるし、指原莉乃さんでさえ、最近はMC以外の稼ぎ方を考えていると漏らしている。画面上でチヤホヤされているように映る彼女たちにとってさえ、「もうテレビは泥船、真面目に乗っていると損をする」という意識を隠そうともしない。そしてその傾向は、男性タレントよりも顕著である。

 一方、若槻さんにはそうした冷ややかさが見られない。彼女とてアパレル事業者としての一面があり、今さらテレビに必死にしがみつかずともやっていける。それなのに、むしろ「テレビ出たいです、出続けていたいです」という積極的な姿勢すら感じるのだ。

 悪役とは言ったものの、いま若槻さんを「嫌い」とはっきり言う人は実は少ないように思う。彼女の頭の回転の速さや甲高い声、指原さんやフワちゃんら最近の人気者ともしっかりつながる嗅覚は、小賢しい印象もなくはない。けれどもいま述べたような妙な積極性も含めて、嫌悪感よりは安定感を先に感じる人は多いのではないだろうか。

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