「悪役キャラ」淘汰が進む芸能界で若槻千夏が再ブレークの理由 旧バラエティー女王の頼もしさ

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時代に逆行する番組でも……持ち場を守り続ける悪役女性たちの懐の深さ

 若槻さんは今、日テレ系の「上田と女が吠える夜」でしっかり本領を発揮している。お得意の、イラっとくる女性に一言物申すという番組だ。声音を変えて現場を再現しつつ、しっかり笑いをとる。でも実は相手を全面的に悪者にするのではなく、こだわりが強い自分にツッコまれる余地をあえて残している。お見事と言うしかないバランスだ。

 みんな違ってみんないい、褒めあう文化が推奨されるこのご時世で、時代に逆行する番組に出演するのは損でしかない。若槻さんに限らず、出演者は苦労が多いことだろう。軽やかにトークをしていても、どこか手探りに見えることがある。大久保佳代子さん、ファーストサマーウイカさん、MEGUMIさん。他の女性の言動に目くじらをたて、強い口調で責める年上の女性と聞けば厄介に聞こえるが、テレビで見る姿は実に一生懸命だ。

 清楚系と呼ばれる女優やアイドルがしれっと掟破りをする一方で、悪役女性たちほど冷や汗をかきながら役目を全うするテレビ業界。オワコンと呼ばれて出演者からも見放されているテレビを見ている自分はバカではないか、そんな視聴者の不安に寄り添うように道化を演じ続けてくれる懐の深さを尊敬する。悪役の仮面をかぶった、実は女神たちなのかもしれない。

冨士海ネコ

デイリー新潮編集部

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