茂木幹事長VS高市政調会長 不仲の全真相 自民党幹部「もはや子どもの喧嘩状態」

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「私は9月に替わるわ」

 自民党・高市早苗政調会長は自嘲的に周辺にこぼします。9月の党役員人事で政調会長から外されることをはやくも覚悟している発言です。茂木敏充幹事長との関係悪化が決定的になり、党運営で蚊帳の外に置かれている高市氏。支持率好調の岸田政権の内側で今何が起こっているのか。その実態を取材しました。【青山和弘/政治ジャーナリスト】

「茂木VS高市」衝突の発端

 政調会長は党の政策立案をつかさどる重要ポストです。高市氏は、昨年9月の自民党総裁選での健闘を受けて、党四役の一角を手にしました。一方、幹事長は、候補者の公認や政治資金の差配など党務全般の責任者。本来、政調会長と幹事長とは二人三脚が求められます。なぜここまで関係が悪化したのでしょうか。

 発端は昨年10月の衆院選直後、公明党が選挙公約の筆頭に掲げた「高校生以下の子供への一律10万円給付」のあり方をめぐる協議で、政策責任者の高市氏が外されたことです。

 高市氏は公明党の主張について「自民党の公約とはまったく違う」などと公然と反発していました。茂木氏は「高市は公明党の竹内政調会長とウマが合わないだろ。スピード感が求められているんだ」と周辺に語り、自らが交渉役となったのです。

中国への対応を巡る対立

 その後、2人の亀裂を大きくしたのが対中外交を巡る問題です。北京五輪の外交的ボイコットを訴える高市氏は12月14日、突然首相官邸を訪問し、岸田文雄首相への直接交渉を決行します。

「党幹部の一人がなんで勝手にスタンドプレーをしているんだ!」

 高市氏の行動は茂木氏の不興を買います。しかし高市氏はひるみません。この3日後の17日、開催中の臨時国会で中国の人権問題についての非難決議を採択するよう茂木幹事長に直談判します。しかし、茂木氏は「今はタイミングではない」と却下。これ対して高市氏は、記者たちの前で「悔しくてたまらない」と怒りを露わにします。

 茂木氏としては、岸田首相とも擦りあせわせて見送りを判断している上、前外務大臣としての自負もあります。党幹部にも関わらず持論を声高に主張し、記者の前で自分を公然と批判した高市氏の態度に激高。関係悪化は決定的となります。政権与党のナンバー2とナンバー3が目も合わせないという、異常事態に陥ったのです。

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