終わり良ければすべて良し 会話を最高の形で締めるための「オチのつけ方」3カ条

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 会話のうまい人は、会話の終え方がうまい人。でも、どんなに話が盛り上がっても、どう締めたらいいか分からないという経験をしたひとは少なくないはずです。そんな時には「その会話で得たメリットを振り返るのがベスト」と日本テレビの藤井貴彦アナウンサーは語ります。著書『伝わる仕組み―毎日の会話が変わる51のルール―』より紹介します。

会話にオチをつける「振り返り」

 会話が楽しく進んだ時ほど、その会話をどう締めればいいのか悩んでしまいますね。

 なぜ締められないのかというと、会話のオチが思い浮かばないからです。でもこれはとてもいいことなんです。時間も忘れて会話できたのですから。笑いに包まれた最高の時間が人生にあと何回あるかわかりませんし、楽しい会話はまさに人生の幸せです。みんなに会って、大笑いしたい。私たちは新型コロナウイルス禍でそのことを痛感しました。

 さて、会話の締めにおすすめなのは、その会話で得たメリットを振り返ることです。

「いやあ、久しぶりにみんなに会えてよかった」

「この会話でいただいた知識を必ず生かします」

「今日は楽しかった、ありがとう」

 こんなシンプルなフレーズでいいので、プラスだった側面を言葉にするのです。

 その言葉が、エンディングの雰囲気を作り出し、じゃあまた会おうねという会話の締めにつながっていきます。こんな簡単なことでいいのです。

「会話のスタート時にルール設定」も良し

 一方で「会議」などの締め方については、「会話の開始時にルールを決めておく」ことが役に立ちます。会議の目的が達成された時に、「会議の前にお伝えした目的を達成できたようです、他に質問はありますか?」と聞けば、会議全体がエンディングの空気をまとい始めます。あとは会議を終了するだけです。

 お笑いで、コメントし終えた人に対して「からのお~?」というツッコミを入れることが流行った時期がありました。あれは会話の終了に関するルール破りが面白いから成立した笑いです。それだけ、私たちはルールに従って会話をしてきたのでしょう。

「からのお~?」と言われる前に、この項目を締めさせていただきます。

冗談で逃げ道をつくって会話を締める

「今言ったことはすべてうそです」

 真面目なアドバイスをした時ほど、私はこう言って会話を終えます。

 とてもくだらないのですが、私はこの冗談にずいぶんと助けられていて、どうしても伝えなければならない厳しいアドバイスの最後に付け加えています。実はコミュニケーションにおける冗談の効能は「相手に逃げ道を残す」点にあります。

 特に後輩へ厳しい指導をした後、逃げ道を用意するのは先輩の大切な役目です。例えば、やや重めにニュースの読み方の指導をした場合でも、「ま、今言ったことはすべてうそですけど」と言いながらその場を去ると、反応のいい後輩であれば、「うそなんかい!」とツッコミが来て、笑いも起きます。

 また、大人しくて真面目な後輩だとしても「え、うそなんですか?」と一瞬困惑しますが、その直後に冗談を理解してくれて場が和みます。

 もちろん冗談が通じる関係性を築いておくことが大切ですが、アドバイスを受ける人を追い詰めてしまわないことはとても重要です。

 一方、言いにくいことを言う先輩側も心苦しさと向き合っているので、会話を冗談で終えて「ノーサイド」にしておくことは、お互いのメンタル維持にも効果的なのです。日頃からこんなふうに伝わる仕組みを作っておくと、次のアドバイスもしやすくなっていきます。

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※『伝わる仕組み―毎日の会話が変わる51のルール―』より一部を抜粋して構成。

藤井貴彦(ふじいたかひこ)
1971年生まれ。神奈川県出身。慶應義塾大学環境情報学部卒。1994年日本テレビ入社。スポーツ実況アナウンサーとして、サッカー日本代表戦、高校サッカー選手権決勝、クラブワールドカップ決勝など、数々の試合を実況。2010年4月からは夕方の報道番組「news every.」のメインキャスターを務め、東日本大震災、熊本地震、西日本豪雨などの際には、自ら現地に入って被災地の現状を伝えてきた。新型コロナウイルス報道では、視聴者に寄り添った呼びかけを続けて注目された。

デイリー新潮編集部

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