くら寿司に巨大「ビッくらポン」が登場… 「エンタメ外食」が増えるワケ

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エンタメ外食の裏にある、「薄れる非日常性」

 なぜ、このタイミングで「エンタメ」をPRする店が次々開店するのか。先の「くら寿司」と「狐食堂」は、東京スカイツリーの前と京都という立地から分かりやすいだろう。少しずつ戻りつつある外国人を含めた、観光客をターゲットにした狙いもあるだろう。

 これに加え渡辺氏は、「かつてあった非日常性が薄れつつある」という外食産業の変化を指摘する。

「変化の理由はふたつあります。ひとつはコロナ禍で浸透したUber Eatsなどの宅配サービスや、テイクアウトの加速です。それまでは限られた店、限られたメニューでしか食べられなかったものが、自宅で手軽に食べられる時代になった。消費者は便利になりましたが、同時に外食の特別感が薄れることになりました。もうひとつの理由としては、コンビニ弁当や冷凍食品の進化が考えられます。レストランなどで1000円くらいのパスタを注文して『冷凍食品と同じくらいの味だな』と感じたことってありませんか?家庭やオフィスで食べられる料理のハードルがあがっている分、わざわざ外で食べなくても…という意識が消費者に育まれつつあります。とくに冷凍食品はコロナの巣ごもりで需要が急増。20年度には生産量が前年比18.5%増となりました(市販用、日本冷凍食品協会調べ)。コロナで冷食の美味しさを改めて知った、というケースも多いのではないでしょうか」

 外食が迎えつつある変化は、こんなブームにも見て取れると渡辺氏はいう。

「自宅の料理や冷凍食品では出せない“味”に加え、店の雰囲気はレトロでシブい……今の『町中華』ブームは、図らずとも非日常を楽しめる場として人気を博していると私は見ています。サウナ施設に併設の食堂で楽しむ『サ飯』などもそう。だからこうした時代にあって、新たにオープンする飲食店が、食事以上の付加価値を模索して『エンタメ』に至るのは納得できますね。もっとも、食事の場にエンターテイメントを求める需要がどれほどあるのかは未知数ですが」

 エンタメ外食の真価はいかに。ぜひ、その目と舌で確かめてみてはどうだろうか。

デイリー新潮編集部

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