不運な怪我で絶不調「藤田菜七子」待望の2勝目はいつか

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 ダントツ1番人気の支持を受けた、昨年の有馬記念馬・エフフォーリアがまさかの9着。波乱となったG1レース「大阪杯」が行われた4月3日の阪神競馬場には、「競馬界のアイドル」藤田菜七子(24)の姿もあった。だが、その表情は冴えない――。

度重なった“不運”

 この日、藤田が騎乗したのは阪神6レースと12レースの二鞍。6レースでは、見事にスタートを決めハナを奪うと逃げの一手に出たが、ゴール寸前で力尽き、惜しくも4着。12レースでは、見せ場もないまま、9着に沈んだ。

「12レースは、もともと人気のない馬だったので仕方ないにしても、6レースはもったいなかった。これをきっかけに再浮上できるかと思って、手に汗握ったのですが」

 とは、スポーツ紙記者。というのも、

「今年の藤田は、1月29日の小倉5レースで1勝をあげて以来だから、もうかれこれ2ヶ月以上勝ちに恵まれていないんですよ。ちょっとスランプ気味ですね」

 2016年3月にデビューした藤田は、16年ぶりの女性騎手誕生ということで脚光を浴びた。競馬場には彼女の姿を一目見ようとファンが押しかけ、関連グッズは飛ぶように売れる、いわゆる“ナナコ・フィーバー”が巻き起こったことは記憶に新しい。

「とはいえ彼女の場合、単なる“客寄せパンダ“に終わることなく、デビュー2年目でJRAの女性騎手の年間最多勝利数を更新する、14勝をマーク。2019年には早くもG1初騎乗を果たし、さらには重賞初制覇という快挙も成し遂げました。ちなみにこの年は43勝もしています」

 2020年2月には落馬負傷で左鎖骨を骨折するも、手術は成功し、翌月には復帰。この年も35勝と堅調に勝ち鞍を重ねてきた。ところが、

「再び不運に見舞われたのは、昨年の10月。今度は落馬ではなく、騎乗中に馬具の一部が身体を直撃するというアクシデントで、以前と同じ左鎖骨をまたもや骨折してしまったんです」

続々と誕生する女性ジョッキー

 別の記者が続ける。

「12月には復帰を果たしましたが、同じところを2度も、ということに本人も相当ショックを受けてしまっているようで、最後の直線での追い出しの時も、以前のようにとにかく思い切って腕を使うというよりは、具合を見極めながら、という感じで進めているようです」

 一方ここ2年で藤田騎手の後を追うように、次々と女性ジョッキーが誕生している。2021年には、古川奈穂(21)、永島まなみ(19)、そして今年3月には今村聖奈(18)がデビューを果たした。これでJRAの現役女性ジョッキーは総勢4人となり、藤田菜七子が背負ってきた、“珍しい女性ジョッキー”という特別感は、幾分薄まった。

「後輩たちの登場で、“女の子だから”、“かわいいから”という理由で、ファンや馬主からチヤホヤされる時期はいよいよ終わりましたね。今後は他の大勢のジョッキーと同様、実力だけで勝負していく、そういう段階に入ったということではないでしょうか」

 今後は、かわいい後輩たちに藤田が教えなければならない立場になったということになるが、そんなときのスランプ、タイミングがよくない。

「とはいえ、単に勝つ姿だけでなく、怪我をした後、どう立ち直るかも含めて、後輩たちは見ているはず。結果的にですが、ジョッキーという職業の厳しい面を、身をもって伝えているのでは」(同)

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