「成人年齢」引き下げで親が気を付けるべきことは? 怪しい「占いサイト」に要注意
口座を売ってしまうケース
元神奈川県警刑事で、犯罪ジャーナリストの小川泰平氏も警鐘を鳴らす。
「未成年が銀行口座を開設する場合、親権者の同意を必要とする金融機関は少なくありません。実際、18歳の子どもが複数の口座を持ちたいとせがんでも、親は訝(いぶか)しんで承諾しないでしょう。しかし、4月以降は自分の意思でいくつも口座を開設できる。そのため、カネで口座を買うような振り込め詐欺業者に、小遣い稼ぎで売ってしまうことも懸念されます。また、クレジットカードも親の同意なく作れるため、高価な家電などを購入するよう唆(そそのか)される恐れもある。買取業者に売却すれば容易に現金化できますからね」
このように“成人”という立場を悪用される危険性は常につきまとう。
有意義な側面も
それでも、先の神内氏は「成人年齢を引き下げること自体には賛成」と話す。
「家庭で虐待を受けている子どもにとって、自分で家を借り、親元を離れて生活できることは望ましい。また、18歳から精神的、経済的自立を促し、社会的責任感を養うことも有意義でしょう。学校では契約のリスクばかりを教えるため、成人になることに不安を覚える生徒が多いのも事実。そうではなく、正確な情報を認識して、慎重に行動する、賢い消費者を育てる指導をすべきだと思います」
新年度に18歳を迎える世代は、大人の階段を2段飛ばしで駆け上がることになる。彼らが早く一人前になれるよう見守り、導くことこそが古い世代の大人の役割といえるだろう。
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