「成人年齢」引き下げで親が気を付けるべきことは? 怪しい「占いサイト」に要注意
占いサイトに偽装
石川氏が業者の手口として紹介するのは、多くの少女たちが好む占いサイトを偽装したケースだ。
サイトに生年月日を入力すると無料で占ってくれるのだが、さらに詳しい鑑定結果が知りたければ会員登録が必要になる。
「そこでメールアドレスやニックネームを書き込むと、〈あなたはモデルやアイドルの道で成功する〉と言われ、今度はオーディションを受けるよう勧誘してきます。軽い気持ちで写真を送ったら2次審査の案内が届き、会場に足を運んでしまったが最後、言葉巧みに契約を結ばされる。しかも、その内容はモデル契約ではなく、ライブチャットで男性客と性的な会話をしたり、アダルト動画に出演する仕事。最初に生年月日を入力させるので、業者側は相手の年齢を容易に割り出せてしまうのです」(同)
であれば、未成年者取消権の保護から外れる4月以降、悪徳業者が“10代の成人女性”に狙いを定めても何ら不思議はない。
石川氏が、別の事例を挙げて話を続ける。
「ある少年がオンラインゲームで知り合った男から自宅に誘われたときのことです。相手が同性ということで何の疑いもなく足を運んだところ、ゲームで遊んでいる最中に身体をまさぐられ、その様子を動画で撮影されてしまった。その後、“お前も喜んでいたじゃないか。言うことを聞かないとSNSに動画を流すぞ”と脅され、貯金を取り崩したり、親のお金を盗んだりして男に渡す羽目になった。今後、似たようなケースが起きた場合、少年が18歳以上だったら、サラ金で借金を強要されることも考えられます」
善意を利用するマルチ商法
三菱UFJ銀行やみずほ銀行といった大手銀行では、カードローンについて、20歳以上のみ利用可能とする現在の条件を継続すると報じられている。
ただし、と先の神内氏が指摘するには、
「学生ローンのように審査が緩いものには要注意です。投資詐欺やマルチ商法に引っ掛かって、当座のお金を工面するために借金をすることも想定される。しかも、親が事後的に解約するのは困難です。“高校生がマルチ商法なんて……”と思うかもしれませんが、大学のサークルと同様、クラス内でマルチ商法がはやることは容易に想像がつきます」
この点については石川氏も、高校生が日常的に利用するSNSや動画サイトは“マルチ商法やネットワーク商法の温床”と断じる。
「最近は社会貢献を絡めて善意を利用するパターンが増えています。たとえば、“保護犬を救おう”という名目で、通常より高額なペットフードを売りつける。“売り上げの10%が保護のための寄付に回されます”と言われると、家でペットを飼っている人は1カ月分だけ買ってみようかな、と思いますよね。ただ、実際には定期購入で6カ月分は解約できないシステムになっていたりします。しかも、悩んでいたら“お友だちに声をかけて購入者を増やしてくれたら、あなたにも取り分が入ります”というメッセージが届く。その言葉に背中を押されてマルチ商法の契約をしてしまうのです」
被害を拡大させないためにも、万一の際、親に相談しやすい関係を作り、「消費者ホットライン(188番)」の存在を教えておくことが重要だという。
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