「ドラッグ乱用」「銃の乱射」…ウクライナ外人部隊の実態 日本人義勇兵の素顔とは

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ネットに残された痕跡

 実はH氏と思われる人物の投稿が現在もコンテンツ配信のプラットフォームnoteに残っている。そこには2020年3月に防大退校後、外資系企業に勤めるなどし、同年7月、フランス外人部隊に志願したと記されている。

「フランス外人部隊は1831年に創設された歴史ある軍隊です。私も何度か、アフガニスタンで米軍の特殊部隊と一緒に任務を遂行しましたが、アメリカの軍人などはわれわれを“エリート”と見なして、一目置いている印象でした」

 こう話すのは04年から6年半、フランス外人部隊のパラシュート連隊に所属した経験を持つ野田力氏だ。

「給料は月20万円」

 野田氏によれば、当時のフランス外人部隊の陣容は約8千人で、うち日本人は30~50人程度いたと推察されるという。

「ただし経歴はさまざま。元自衛官もいれば、高校卒業後にすぐ志願した者や、旅行中に偶然目にした募集ポスターを見て入隊を決めた者もいた。私の場合、給料は当時で日本円にして月20万円程度。作戦で海外に派遣されると倍額になりますが、お金目的で入隊した人は少ないと思います」(同)

 その存在が再びクローズアップされるなか、義勇兵としてウクライナ入りするもつい最近、除隊したばかりのアメリカ人Hieu Le氏のフェイスブックでの投稿が話題を集めている。

 3月4日、Le氏は〈軍隊や警察の訓練を受けていないなら行かないことだ〉と義勇兵予備軍に呼び掛けた後で、〈もし捕らえられたら(捕虜の処遇を定めた)ジュネーブ条約の保護対象とならず、犯罪者として扱われ〉ることになり、〈シベリアの強制収容所で何年も過ごすことになる〉との可能性も示唆する。

ドラッグに銃の乱射

 同月11日、Le氏はウクライナ入りを果たし、外国人による特殊部隊の編成チームに配属。その3日後に配属先の基地にロシア軍の巡航ミサイル30発が撃ち込まれ、現実の戦争を目の当たりにして16人の隊員が除隊。同じ宿舎で過ごした仲間は7人に減ってしまったという。

 その後も、キエフ郊外イルピンの森のなかで戦死したウクライナ兵の遺体回収という過酷な任務の様子などが記されるが、20日の投稿では内容が一変。〈義勇兵のなかには“殺したい”というサディスティックな欲求〉を満たすため参戦した者がいると書く。

 一部に〈得体の知れないドラッグでハイになって一日を過ごす〉義勇兵がいると告発し、さらにミッション中に〈犬を面白半分に撃った〉り、〈家を荒らし、市中で銃を乱射し、彼らを制止しようとした司令官の足をトラックで轢いた〉狼藉者までいたという驚きのエピソードを紹介する。

 最終的に彼ら不良外国人兵はウクライナ軍に逮捕されたというが、すべての義勇兵が気高いわけでないという重苦しい事実を世界に突き付けた。

週刊新潮 2022年4月7日号掲載

特集「敗滅のプーチン」より

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