世界の長者番付で3位に…バブルの不動産王・小林茂の素顔 30代で「秀和レジデンス」を生んだ背景とは

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「SHOUGUN」という異名

 その後、小林が創業した秀和株式会社は、「オフィスビル」で東京の不動産業界を席巻。1978(昭和53)年には米国進出を果たす。ロサンゼルスのランドマーク「アトランティック・リッチフィールド・プラザ」をはじめ、全米三大テレビネットワークのひとつABC放送が所有する「ABCビル」などを買収。自社のコーポレートカードに「アメリカのシンボルといわれているビルが、いまや秀和のシンボル」と刻んだ。ニューヨーク本社ビルの玄関に鎧兜が飾られていたことからついた異名は「SHOUGUN」。小林は米国の経済界でも名を馳せ、ニューヨークの名誉市民にも推薦された。

 しかし、バブル崩壊を契機に経営は行き詰まり、2005年、秀和株式会社は、アメリカの投資銀行モルガン・スタンレーに買収され消滅。小林もその6年後の2011年にこの世を去る。東京の大手デベロッパーの幹部は、正真正銘、小林は昭和の不動産王だったと回想する。

「今でこそ、『〇〇レジデンス』という名前のマンションは東京中にありますが、秀和を知る世代は、恐れ多くておいそれとはその名前を使えませんでした。『秀和レジデンス』は日本のマンション史そのものであり、小林茂の人生、そのものなんです」

中原一歩(なかはら・いっぽ)
ノンフィクション作家。佐賀県生まれ。著書に『最後の職人 池波正太郎が愛した近藤文夫』(講談社)、『小林カツ代伝 私が死んでもレシピは残る』(文藝春秋)など。

デイリー新潮編集部

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