王者・大阪桐蔭に新星現る…“188センチの大型右腕”川原嗣貴が快投 4年ぶりの優勝へ好発進

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「2点を保険にしながら」

 3月19日に開幕した選抜高校野球。出場32校が全て登場するまでの期間、目に付いた選手、プレーについて独自の視点から掘り下げて、現地からレポートしていきたい。今回、ピックアップするのは、24日に行われた第6日目、大阪桐蔭(大阪)対鳴門(徳島)である。【西尾典文/野球ライター】

 1回戦、最後のカードとなった試合は、優勝候補筆頭の呼び声が高い大阪桐蔭(大阪)が鳴門(徳島)との接戦を制し、2回戦へとコマを進めた。スコアは3対1。大阪桐蔭の前評判の高さを考えると、“意外な結果”と感じたファンも多かったかもしれない。

 ロースコアの展開を演出したのが、鳴門のエース、富田遼弥だ。1回にはプロ注目の強打者である松尾汐恩から、内角いっぱいの139キロのストレートで見逃し三振を奪うなど、三者凡退と抜群の立ち上がりを見せた。

 大阪桐蔭の西谷浩一監督は、富田のピッチングを見て、簡単に攻略できる投手ではないと感じたという。

「試合前のブルペンから注目していましたが、非常に良いボールを投げていましたので、これは5回くらいまでは点はとれないんじゃないかと思いましたね。選手にも、試合前からロースコアになるということは話して、試合に入りました。そんな中でも(3回に)2点を先にとれましたので、それを保険にしながら、試合を進められたことが良かったと思います」(西谷監督)

低めの変化球に体を残して対応

 西谷監督のコメントにあるように、勝敗を分けるポイントとなったのが、3回の攻撃だ。

 先頭の鈴木塁のしぶとい内野安打から、ワンアウト二塁のチャンスを作ると、1番の伊藤櫂人は空振り三振に倒れたものの、続く谷口勇人がフルカウントからの6球目をセンター前に弾き返して、先制に成功する。

 谷口は、ワンバウンドしそうな低めの変化球に、見事に体を残して対応していた。鳴門バッテリーからすれば、これ以上ない“勝負球”。打たれた富田が唖然とする様子は、バックネット裏からもはっきりとわかった。ショックを隠し切れない富田は、続く3番の松尾汐恩に四球を与えてしまう。

 大阪桐蔭打線は、絶好のチャンスを見逃さなかった。4番の海老根優大は、追い込まれてからのスライダーをファウルで粘り、最後は外角のストレートを右中間へ弾き返して、貴重な追加点を奪う。

 伊藤、松尾、海老根は、いずれも今秋のドラフト候補と見られる強打者だが、その間を打つ2番に谷口のような高度な打撃技術を持つ選手がいるところに、大阪桐蔭の“底知れないレベル”の高さが感じられた。

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