大暴言で姿を消したスター・ミケルソン オイルマネーによるゴルフ新ツアー構想が大モメ

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ペナルティは9割がた間違いない

 4月になれば、ゴルフ界には「ゴルフの祭典」マスターズの季節がやってくる。今年の大会は、日本のエースである松山英樹が連覇に挑むため、日本のファンの注目度は高まるばかりだ。【舩越園子/ゴルフジャーナリスト】

 しかし、オーガスタ・ナショナルで、かつて5勝を挙げたタイガー・ウッズは、昨年2月の交通事故で重傷を負った右足が、いまなお完治しておらず、「歩くだけでも精一杯」という状態ゆえ、今年の出場は難しいと見られている。

 そして、ウッズと一時代を築いてきた長年のライバル、マスターズ3勝のフィル・ミケルソンも今年のマスターズには出場しないことが、21日(米国時間)にわかった。いや、正確に言えば、「出場できない」と表するべきだろう。なぜなら、ミケルソンは今、「おそらくPGAツアーから出場停止処分を科されている」からだ。

 PGAツアーは罰則や罰金を科したかどうか等々、選手に対するペナルティの内容は一切明かさないため、選手側が公表しない限り、処分の有無や内容は周囲にはわからない。だが、忽然と戦いの場からも公の場からも姿を消したミケルソンが処分対象になっていることは9割がた間違いないだろう。

 仮に出場停止期間が1ヵ月程度なら、そろそろ処分が解ける頃だろう。だが、出場停止期間が2ヵ月だとすれば、マスターズには間に合わず、3ヵ月以上となれば、昨年50歳にして史上最年長のメジャー優勝を達成した全米プロへの出場も危うくなる。ところで、「ミケルソンに何があったの?」と首を傾げている方々もいらっしゃると思うので、コトの成り行きをざっと振り返ってみよう。

ノーマンの後ろ盾はサウジアラビア

 米国に本拠を置くPGAツアーに対抗するワールドワイドな新ツアーを創設する構想が浮上し、実現に向けて動いていることは、2月にこの「デイリー新潮」でお伝えしたばかりだ。

 新ツアー創設構想を提唱しているのは、かつて同様の構想を打ち砕かれ、以後、30年以上の歳月をかけて構想の練り直しに努めてきたグレッグ・ノーマンだ。

 ノーマンの後ろ盾になっているのは、サウジアラビアの莫大なオイルマネーだ。すでにノーマンはサウジ資本の投資ファンド「リブ・ゴルフ・インベストメント」のCEOに就任し、プロスポーツ興行に関わるプロフェッショナルな人物を世界中から次々に引き抜いては役員に据えている。その中には「元PGAツアー」「元オーガスタ・ナショナル」といった人物も含まれている。

 彼ら「サウジ勢力」は、破格の移籍料や超高額賞金をちらつかせ、米欧両ツアーの選手たちの勧誘に余念がない。

 今年1月ごろには、「サウジの新ツアーに行きたがっている選手を僕は20名知っている。今後のPGAツアーの出方次第では(大量の)移籍は現実になる」と話す人物がいた。その言葉の主こそが、ミケルソンだった。

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