大暴言で姿を消したスター・ミケルソン オイルマネーによるゴルフ新ツアー構想が大モメ

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サウジ勢力を「恐ろしい人々」

 だが、ミケルソンの発言がそこで終わっていたら、別段、世間から問題発言だと批判されるいわれはなく、PGAツアーから出場停止処分を受けることもなかったはずだ。「そこ」という一線を越えてしまったからこそ、彼の発言は物議を醸し、問題視され、大騒ぎになってしまったのだ。

 一体、彼は何を言ってしまったのか――。その発言は、昨年11月に米国のあるゴルフライターが自著を出版する目的で行ったインタビュー時の会話が今年2月に公表され、明らかになった。

 その中でミケルソンは「サウジ勢力」の人々のことを「恐ろしい人々だ」と言い放ち、「それでも僕が恐ろしい彼らと付き合っているのは、(新ツアー構想が動くことで)PGAツアーが自分たちの問題点に気付き、それらを修正する二度とない絶好の機会になるからだ」と、語ったためだ。

 その上でミケルソンは、長年お世話になってきたPGAツアーのジェイ・モナハン会長らに対して「欲深い人々」などと侮蔑的な言葉を投げつけ、その際、社会人として口にすべきではない低俗な英語も発している。

ほぼすべてのスポンサーが撤退

 ミケルソンのそうした発言は、瞬く間にPGAツアーを駆け巡り、選手もキャディも米メディアもファンも仰天させられた。SNSでは大炎上が起こり、次々にミケルソンのスポンサーが契約解消を発表した。

 長年のメイン・スポンサーだったKPMGは契約解消を「役員の満場一致で即座に決定」し、アムステル・ライトがそれに続いた。用具契約のキャロウェイは契約停止、ワークデーは契約更新を行わず、ミケルソンはほぼすべてのスポンサーを失った。

 さらには、ミケルソンが2020年から大会ホストを務めてきたザ・アメリカン・エキスプレスからも契約を解除され、大会ホストから外された。そればかりではない。同大会のチケット販売やボランティアの募集・配置といった実質的な運営を請け負っていたミケルソン財団も大会から切り離され、同大会とミケルソンの関係は完全に遮断された。

 その決定を下したのはPGAツアーだ。ミケルソンの存在を同大会から、あっさり、きっぱり排除したところに、PGAツアー側の彼に対する強い怒りや不快感が感じ取れる。

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