戦争犯罪人「プーチン」はどう裁かれるか 出国した場合、逮捕される可能性も

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国連憲章、ジュネーヴ諸条約等に違反

 ロシアによるウクライナ侵攻開始から1カ月。内外で孤立を深めるプーチン大統領だが、果たして戦争犯罪の責任追及はどこまでできるのか。国際法の専門家に解説してもらった。

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 国際法の権威である同志社大学の浅田正彦教授は、プーチンが犯した罪をこう解説する。

「まず国連憲章違反です。国連憲章の柱である2条4項は『武力による威嚇』及び『行使』を禁止している。それに明確に違反したことになります」

 これに対してプーチンは、ドネツク、ルガンスクの二つの「国」から要請があり、集団的自衛権を行使したので、2条4項の例外に当たる、と主張している。しかし、二つの州はロシア以外の国からは独立国として承認されていないため、この主張は通らないと浅田教授。

 実際に行われた戦闘行為についても、ロシアは数々の罪を犯している。戦時国際法は、ジュネーヴ諸条約とそれに対する追加議定書により、さまざまなルールが定められているが、

「ここに抵触しそうなロシアの行為を挙げれば、まずは文民に対する攻撃です。これは第1追加議定書で絶対的に禁止されていますが、各地でロシア軍は民間人への攻撃を続けています」(同)

逮捕しないと「ICC規程に違反」

 問題は、こうした戦争犯罪人のプーチンを裁くことができるのか、ということである。責任の追及は国家に対して行われるものと、個人に対して行われるものに分かれる。浅田教授がより実効性の高いものとして注目するのは後者で、扱うのは国際刑事裁判所(ICC)だ。報道では「ロシアもウクライナもICCに加盟していないからプーチンを裁けない」と解説されることがあるが、これは不正確。7年前にウクライナは無期限で戦争犯罪等についてICCの管轄を受け入れると宣言しているため、ICCは裁判の手続きを開始することができると浅田教授は言う。では、仮にプーチンに逮捕状が出た場合、どうなるのか。

「その場合、プーチンがICCの締約国を訪れた際に、その国は彼を逮捕してICCに引き渡すことが締約国として義務付けられることになります。実際に逮捕することは、その国にとって、ロシアと決定的に敵対するというリスクを背負い込むことになりかねないだけに難しいかもしれませんが、逆に逮捕をしなければ、その国はICC規程に違反することになる」(同)

 3月24日発売の「週刊新潮」では、獄中の反体制指導者が暴いたプーチン側近の腐敗などについても詳しく報じる。

週刊新潮 2022年3月31日号掲載

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