星野仙一、原辰徳、ラミレス…奇策敗れたり!あまりに痛すぎる“大失敗采配”

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 奇策はズバリ決まれば“マジック”と持てはやされるが、失敗するとその分ダメージも大きくなる諸刃の剣のようなものだ。過去のプロ野球の試合の中から、一か八かの場面で奇策を打ち、裏目に出てしまった痛恨の采配を振り返ってみたい。【久保田龍雄/ライター】

「胸くそ悪い」とパウエルに怒り

 最初に登場するのは、奇策とは縁遠いイメージの強い“闘将”星野仙一監督だ。

 ふだんは手堅い采配を用いる星野監督が、まさかの奇策を披露したのは、中日監督時代の1997年8月16日。相手はよりによって、奇策を得意とする野村克也監督が率いるヤクルトだった。

 1対1の5回に1死一、三塁のピンチを迎えた星野監督は、次打者・稲葉篤紀の場面で、先発・古池拓一にレフトを守らせ、左腕・北野勝則をワンポイント起用した。

 野村監督が何度か用いた“スペシャル継投”である。これに対して、稲葉は「ピッチャーが守っているとかじゃなくて、左投手だし、流そうと思った」と古池が守るレフトを意識して、カウント2-1から緩いシンカーを狙い打った。

 だが、打ち損じて引っかけてしまい、打球は逆方向の一塁へ。星野監督の奇策はまんまと成功したかに見えた。

 ところが、ファースト・パウエルがバックホームせずに二塁送球したことから、併殺崩れとなり、1点を勝ち越されてしまう。北野が次打者・ホージーに四球を許し、2死一、二塁となったところで、古池がレストから再びマウンドに戻ったが、古田敦也の左前タイムリーで3点目を失い、奇策で自滅する形になった中日は1対7と大敗した。

 それでも、星野監督は「(ワンポイントは)うまくいっとるやないか」と反論し、「あんなものホームに決まっとる。胸くそ悪い」とパウエルに怒りをぶつけていた。

 対して、野村監督はその道の大先輩の余裕から「まあ、ああいうときは、チームが苦しいとき。苦肉の策や。ワシは成功させたって? ヘッヘッヘッ」と高笑いだった。

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