星野仙一、原辰徳、ラミレス…奇策敗れたり!あまりに痛すぎる“大失敗采配”

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ファンから「どうなってんだよ!」

 V争いにギリギリ踏みとどまるため、セットアッパーを先発させる奇策を打ったのが、DeNA・ラミレス監督だ。20年9月3日、7.5ゲーム差の首位・巨人との直接対決3戦目で何とか一矢報いようとしたラミレス監督は、救援陣総動員の“ブルペンデー”と銘打ち、中継ぎのパットンをショートスターターとして先発させた。

 来日194試合目で初先発となるパットンに最長3回を目安に投げさせ、リリーフ陣の小刻み継投で逃げ切る作戦だった。パットンには2週間前に先発を伝え、この日に備えてきた。だが、入念に準備しても、必ずしもうまくいかないのが野球だ。

 1対0の1回裏、パットンは1死から松原聖弥に四球を与えると、亀井、岡本和真の連打で、あっという間に同点にされる。さらに、丸佳浩の左飛を佐野恵太が落球して逆転されたあと、中島宏之の犠飛で1対3。だが、これはほんの序曲に過ぎなかった。

 2回もパットンは投手の田口麗斗を四球で歩かせ、坂本勇人の安打で1死一、二塁とピンチを広げたあと、松原にプロ初アーチとなる3ランをプレゼント。亀井の内野安打のあとにも岡本に2ランを浴び、丸にも二塁打を許したところで、2回も持たずにKOとなった。

 さらに2番手・武藤祐太も中島、田口に二塁打を打たれたあと、坂本にとどめの2ランを献上し、この回だけで10失点という大炎上劇に……。

 コロナ禍で声出し自粛中にもかかわらず、スタンドのベイファンから「ラミレス、どうなってんだよ!」の怒声が飛び、ツイッターでも「DeNA」「ラミレス」などの単語がトレンド入りした。

 4対13と大敗し、V戦線から完全に脱落したラミレス監督は4位でシーズンを終え、同年限りで退任。“ギャンブル采配”が裏目に出て、自らの首まで飛ばしてしまった。

久保田龍雄(くぼた・たつお)
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍「プロ野球B級ニュース事件簿2020」上・下巻(野球文明叢書)

デイリー新潮編集部

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