島民が甲子園に殺到!選抜高校野球、ファンの記憶に残る“離島勢の大健闘”

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島に残る球児が増えた

 最後は、冒頭で触れた、大島が前回出場時の戦いをプレイバックしてみよう。13年秋の鹿児島県大会で強豪・樟南を下して4強入り。準決勝でも指宿商に1対2と接戦を演じた大島は、21世紀枠で奄美群島では初の甲子園切符を手にした。

 初戦の相手は、この大会で優勝した龍谷大平安。3回に本塁打で1点を先制されたが、4回に小野浩之介の三塁打とエース・福永翔の内野安打で同点。ここまでは互角だった。

 ところが、1対1の5回1死満塁のチャンスに一塁走者がけん制球に刺され、無得点に終わったのを境に、流れは一気に平安に。3回まで9つのアウトのうち7つまでフライアウトに打ち取った福永が、5回以降、ミートに切り替えた平安打線に打ち込まれ、終わってみれば2対16の大敗。大島は、甲子園常連校との圧倒的な力の差を見せつけられてしまう。

 だが、21世紀枠出場がきっかけで、鹿児島市内の有力校に進学せず、島に残る球児が増えていったのも事実。これが8年後、一般枠出場につながった。今年の大島は、スポーツ紙6紙のいずれも、その実力が「Bランク」で評価されるなど、ダークホース的存在でもある。選抜での躍進を期待したい。

久保田龍雄(くぼた・たつお)
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍「プロ野球B級ニュース事件簿2021」上・下巻(野球文明叢書)

デイリー新潮編集部

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