「新庄＆稲葉」が全集中 「日ハム・清宮」を未完の大器で終わらせず5年目の覚醒に導くための秘策
左専任打撃コーチとは？
こうした情報も事前に調べ上げていた新庄監督は、現役時代の立浪監督と同じ左打者である清宮を『どうか救ってやってほしい』と差し出した。
「マスコミはビッグボス流サプライズの一環と冗談半分に報道していましたが、新庄監督はいたって本気。彼はそれほどに清宮のブレイクを願っており、恥を忍んで敵将に頭を下げ、わざわざ頼み込んだんです」（先のOB）
それだけではない。沖縄・名護で行われた今年の春季キャンプでは、意外な人物が新庄監督の命を受け、清宮の打撃指導に人知れず熱を入れていた。
その人物とは、稲葉篤紀GM。フロント業務で多忙を極める稲葉GMだが、日ハム関係者はこう打ち明ける。
「ほとんど知られていませんが、実は今季の稲葉GMは、フロント業務も行いながら基本的に一軍のチームへ帯同する方針になっているんです。そして春季キャンプではすでに、自身の現役時代と同じ左打者に限定して打撃に関する指導も行っている。つまり彼は“GM兼左専任打撃コーチ”なのです。本来、パワーバランスとしては監督よりGMのほうが立場は上。ですが、盟友のビッグボスから直々に『あっちゃん（稲葉GMの愛称）、頼みます』と懇願され、新庄監督のもとで打撃コーチも引き受けることをスンナリと快諾したらしい」
守れるポジションは一塁だけ
そして、新庄監督が稲葉GMに無理を押してでも“左専任打撃コーチ”を依頼した最大の理由こそ清宮の存在だった。すでに稲葉GMによる熱血指導の成果も徐々に出始めているという。
「以前のように打席で『打たなきゃ、打たなきゃ』と前のめりになって突っこんでしまうような打撃フォームではなく、ボールを呼び込んでタメを作って打てるようになった。自分の中でようやく『これだ』という、ひらめきのようなものがあったのでしょう。軸もぶれなくなった」（前出の関係者）。
もちろんこれで劇的に結果が出始めると考えるのは早計で、「まだまだ、打ち方にムラがあり過ぎる」と欠点を指摘する声は他球団スコアラーや有識者を中心に依然として根強い。
しかも清宮に関しては、こんな“不安”を投げかける球団関係者もいる。
「彼はなにより守備が下手。雑過ぎてプロとしてはお話にならない。守れるポジションも一塁だけで、起用法によっては助っ人外国人たちとの競争になる可能性もあり、おのずと打撃でハイレベルな勝負をしなければならなくなる。キャンプ中は外野や他の内野ポジションの守備にも就いて練習を重ねていたと聞くが、これがそう簡単な道のりでないことは清宮自身が痛感しているはずだ」
未完の大器を未完のまま終わらせてしまうわけにはいかない――。表向きは「選手は横一線」と“平等”をアピールしながら、新庄監督が清宮に強くハッパをかけ続けるのには、ある理由があった。（続く）
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