名古屋市で身寄りのない遺体が3年4カ月放置 なぜ火葬が遅れた?

国内 社会

  • ブックマーク

Advertisement

 行政がしかるべく扱うはずの身寄りのない遺体が放置されていた――。仰天の事態が明るみに出たのは名古屋市だ。監査の結果、平成30年以降に問題事例が19件も。市が荼毘に付すと決まったのに葬儀社の保冷施設に置かれたままだった遺体が13件。相続人調査が滞ったり、調査を始めていなかったりで誰が火葬するか決まらなかった遺体が6件。

 市の担当者が言うには、

「ご遺体に身寄りがないと、警察、病院、施設などから各区に連絡があります。区では保管料無料の葬儀社にご遺体を預け、相続人調査に入ります。葬儀は、相続人不在ならすみやかに区で行い、相続人がいればそちらに依頼し、これを断られた場合も区で執り行うのですけれど……。二度とこうしたことがないよう、手続きを見直しています」

なぜ3年以上も経過したのか

 では、なぜ問題は起きたのか。行政が火葬すると決まっていた13件のうち、最も長く3年4カ月も放置されていたのは死亡時40代の男性で、これを含むなんと5件が昭和区での事例だ。

 区に話を聞くと、

「名古屋市の場合、まず亡くなられた方のご両親の戸籍を調査し、そこから相続人を割り出して連絡します。葬儀を行うようお願いし、もし断られたら次の相続人に連絡するといった手続きを踏んでいくのです」

 いや、大変そうな作業だ。

「葬儀を断られた際には確認書をとるのですが、書類への記入をお願いしても、なかなか書いてくれない方もいらして……」(同)

 身寄りのない遺体だけに、判明した親族の対応もつれないのだろう。また、行政側は相続人から「葬儀できない」旨の確認書をとっても、すぐに区で火葬できるわけではない。

「公費の負担軽減のため、亡くなった方に少額でも預貯金があれば、葬儀費用に充てることが原則となっています。が、金融機関から出金するには相続人全員の許可が必要で、これにも時間がかかります」(同)

次ページ:身寄りのない遺体が急増

前へ 1 2 次へ

[1/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。