名古屋市で身寄りのない遺体が3年4カ月放置 なぜ火葬が遅れた?

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身寄りのない遺体が急増

 加えて、時期的な不幸も重なったという。

「3年4カ月に及んだケースは、ご遺体が見つかったのが平成30年5月。この年は身寄りのないご遺体が20件にのぼった中、猛暑だった7~8月は月3、4件の連絡がありました。手続き通りご親族をまず確認し、葬儀のお願いを最優先したのですが、昭和区ではその担当者が1人しかいなかったのです。当該事務のほか、防災に関する仕事、市の広報などの文書を区民に届ける通達員の管理、公用車の管理なども担っていたため、手が回らなかったというのが実情でした」(同)

 遺体を保管する葬儀社から「まだか」といった連絡はなく、

「やがて担当が異動で替わってしまいました。新しい担当者は、戸籍調査の状況に関する記録などをもう一度読み直さなければならず、結果的に3年以上放置するようなことが起きてしまった。本来なら係長や課長が進捗状況を管理していなければなりません。故人への敬意が足りず、市民からの信頼を失墜させ、申し訳ありません」(同)

 名古屋市によると、身寄りのない遺体は平成28年度は84件だったが、令和2年度には160件と急増。市によれば、これは死亡者の140人に1人にあたるという。高齢社会の実像が、妙な形で浮き彫りになった。

週刊新潮 2022年3月10日号掲載

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