ロシア各地で反戦デモが激化 反プーチン運動の鍵を握るのは「高齢者」と言われる訳

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 時事通信は3月6日、「ロシアで反戦デモ、3500人拘束」との記事を配信し、YAHOO!ニュースのトピックスに転載された。言論の自由が保障されていないロシアにも、ウクライナ侵攻に反対する人々が存在することに、世界の注目が集まっている。

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 産経新聞も7日の朝刊に、共同通信が作成した「ウクライナ侵攻 露44都市、反戦デモ 参加者2000人超を拘束」の記事を掲載した。

《ロシアの人権団体「OVDインフォ」によると、同国の44都市で6日に反戦デモがあり、極東ウラジオストクや東シベリアのイルクーツクなどで少なくとも2034人が拘束された。ロイター通信が伝えた。》

《OVDインフォによると、ロシアがウクライナに侵攻した2月24日以来、反戦運動で拘束された人は1万人を超えた。》

 担当記者が言う。

「欧米のメディアを中心に、ロシア国内で反戦デモに参加しているのは、多くが若者と報じています。ウラジーミル・プーチン大統領(69)はフェイクニュースを通じて、ウクライナ侵攻を正義の戦いと宣伝しています。ところがロシアの若者は、スマートフォンで欧米の正確な報道にアクセスしているのです。ロシアのウクライナ侵攻が大義のない戦争であることを分かっており、義憤から反戦デモに参加しています」

ロシア革命の歴史

 筑波大学の中村逸郎教授(ロシア政治)は、かつてアメリカはベトナム戦争の泥沼化で苦しんだが、同じことがロシアに起きる可能性があるという。

「ウクライナ侵攻が、ロシアにとってのベトナム戦争と化す可能性は、決して低くないでしょう。1960年代のアメリカでは、若者が中心となり、従来の価値観に異議を唱えるカウンターカルチャーが生まれました。差別の撤廃と法の下の平等、市民としての自由と権利を求める公民権運動も活発化しました。政府の権威が失墜し、国民が自由を求める動きが先鋭化したと言えますが、似た動きがロシアで起こっても全く不思議はありません。ロシアの若者がプーチン政権打倒に動くのではないかと、世界中のロシア専門家は注視すると思います」

 中村教授によると、経済制裁によるインフレに苦しむロシアでは、高値にもかかわらずウオツカが飛ぶように売れているという。

「ウオツカを買っているのは、比較的年齢の高い層です。文字通り『ウオツカでも飲まなければやってられない』と、自宅で酒をあおっているのです。彼らは表立って反プーチンには動きませんが、内心では若者のデモに共感しており、酒で気を紛らわしている姿が浮き彫りになります。そして、彼らがいつまで黙っていられるのかという問題も、専門家の関心を集めています」

 ロシア人は、自らの手で“革命”を成し遂げた記憶を持っている。これまでの歴史を振り返っても、政府が弾圧すればするほど、反政府運動は盛り上がってきた。

「1905年、ロシア帝国の首都サンクトペテルブルクで起きた、労働者の権利や日露戦争の中止を求める民衆のデモを、軍隊が発砲して鎮圧しました。これが『血の日曜日事件』と呼ばれて教科書にも載っていますが、この暴挙に激怒したロシア国民は蜂起し、ロシア第一革命が起きたのです」(前出の記者)

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