プルシェンコ氏の「大統領を信じています」発言 専門家はロシア人特有の反語の可能性を指摘

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炎上したプルシェンコ氏

 ロシアの国技とも言えるフィギュアスケートも例外ではない。国際スケート連盟(ISU)は3月1日、フランスで23日から開かれるフィギュアスケート世界選手権を皮切りに、ロシアとベラルーシの選手を除外すると発表した。

 この決定にInstagramで猛抗議したのが、2006年トリノ五輪の男子フィギュアスケートで金メダルに輝いたエフゲニー・プルシェンコ氏(39)だ。「皇帝」の愛称は有名で、日本でもファンが多い。

 プルシェンコ氏がInstagramに投稿した内容が、プーチン大統領を擁護したのではないかとの指摘が世界中から相次ぎ、いわゆる“炎上”状態となった。

「3月5日には長文の投稿を行いました。その中でプルシェンコ氏は『私はアスリートとして、更に正常な精神状態の人間として、スポーツと政治は別だという立場を共有しています』とし、FIFAやIOCの決定を『大きな間違いです!』と強く批判しました」(前出の記者)

 プルシェンコ氏は、ロシアのスケーターは「世界で最も強い」とし、ロシアの選手が出場しない国際大会では「優勝者の価値が下がってしまう」と訴えた。

「プルシェンコ氏は『誰もが平和を望み、私も望んでいます』という考えを表明しました。そして投稿の末尾近くで『私は私たちの大統領を信じています!』と書いたのです。これで全世界の人々から、『プルシェンコはプーチンを支持している』と批判されることになりました」(同・記者)

「ロシア人は世界に頭を上げろ」

 ただ、少なくとも日本では、プルシェンコ氏の発言はむしろ平和を求めたものと受け止め、擁護する声も強い。

 ネットメディアのJ-CASTニュースは3月2日、「『私はプーチン大統領を信じています』 皇帝プルシェンコ氏、スポーツ界『ロシア追放』に反発声明」というタイトルで、プルシェンコ氏の発言を伝えた。

「ところがSNSなどで、プルシェンコ氏が欧米に反発という文脈のタイトルに違和感を覚えるという投稿が一定の支持を得たのです。『スポーツと政治は別とするプルシェンコ氏の発言は正論』という投稿も、それなりに拡散しました。そうした言論と関係があったかどうかは不明ですが、J-CASTニュースは後に記事のタイトルを『「アスリートの権利を直接侵害するもの」 皇帝プルシェンコ氏、スポーツ界「ロシア追放」に反発声明【追記あり】』と変更しました」(同・記者)

 更にプルシェンコ氏は6日にもInstagramにロシア語と英語で投稿を行った。

 英文では「人種差別をやめろ、ジェノサイド(民族大量虐殺)をやめろ、ファシズムをやめろ」と訴えた。

 そしてロシア文では「ロシア人は世界に頭を上げ、ロシア人であることを恥ずかしがらず、誇りに思ってください」と呼びかけた。

 2つの言語で書かれたことが微妙に違っているのも、注目を集めているようだ。

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