シングルマザーに売春させて1100万円を巻き上げた「鬼夫婦」“奇妙な洗脳生活”を近隣住民が証言

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「ニュースを見てびっくりです。確かにどんな関係なんだろうと思って見ていました。ただ、表立ってトラブルはなかったし、女性がSOSを出しているようには見えなかった」。こう語るのは、先月末、シングルマザーの同居女性に売春をさせていた容疑で逮捕された夫婦を知る近隣住民である。

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598回861万7000円

 2月28日、警視庁保安課は、嵩原ゆき乃(33)と夫の優力(29)両容疑者を、26歳の女性に売春で稼いだ売上を上納させていたとして、売春防止法違反(管理売春)容疑で逮捕した。夫婦は女性と板橋区内の自宅アパートで同居。マインドコントロール下に置いていたと見られている。

「スマホに残っていたデータによれば、2019年7月から昨年11月までに、女性は598回にわたり売春行為に及んでいた。稼ぎ出した額は861万7000円。その大半が嵩原夫婦に巻き上げられていたとみられます。女性は『1100万円くらい貢がされた』と警察に訴えています」(警視庁担当記者)

 女性は18年2月、動画投稿サイトを通じてゆき乃容疑者と知り合った。当時1歳の息子がいたが、仕事もなく住む場所に困っており、ゆき乃容疑者が「それならうちに住みなよ」と誘ったことがきっかけで、18年11月頃から同居生活スタートした。

 地獄の日々はここからだ。当初は数万円だった家賃が、日を追うごとに、12万円、17万円、30万円、40万円と値上げされていった。だが、女性は「夫婦に子供を預けており、独りでは逃げられない」と考え、要求通りに支払っていたという。住まいは都営住宅で、夫婦が払っていた家賃は数万円程度だったと思われる。

汚いビニール傘が十数本

「当初、女性はキャバクラで働いていましたが、カネが納められなくなると、夫婦に『風俗で稼げば』と持ちかけられた。鶯谷のデリバリーヘルスにとどまらず、池袋の出会いカフェや立ちんぼ、デリヘル客の“裏引き”まで。最初は2割納めるという話が徐々にエスカレートしていき、最終的には小銭以外は全て巻き上げられるようになってしまった」(前出・記者)

 昨年11月頃、知人のすすめで女性が警察に被害相談したことで事件が発覚した。一方、夫婦は取り調べに対し、「売春を強要した事実はない」と否認している。

 彼らが住んでいた板橋区の都営住宅を訪ねた。無人となった部屋は、扉が汚れっぱなしで、窓の格子にビニール傘が十数本、乱雑に立てかけられていた。ここで被害女性は昨年11月頃まで、子供と一緒に嵩原一家と暮らしていたという。夫婦にも小学校高学年になる息子がおり、住人は全員で5人。間取りは3Kで、被害女性らには一番小さな4畳半の部屋があてがわれていた。

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