オリックス、悲願の日本一へ…“勝負の17年目”T-岡田が見せた「進化の証」

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「休んだ方が、動けなくなる」

「自由にやらせてもらっていますから。その分、責任もありますしね」

メジャーでは、同一球団で長いキャリアを誇る選手を「フランチャイズ・プレーヤー」と呼ぶ。大阪生まれの大阪育ち。高校も大阪の強豪・履正社高。まさしく、生粋の“浪速の野球選手”は、オリックス一筋。今季で17年目のシーズンを迎える。

34歳という年齢もあって、マイペースでの調整を認められるキャリアになってきた。今年のキャンプも「B組」でのスタート。それでも、優勝後のオフは「ほとんど休んでいないんです」と明かしてくれた。

 ここで、50歳まで現役生活を続けた元中日投手・山本昌の言葉を借りてみよう。

「若い時はすぐに体が動いたんだけど、年行ってからだと、一度止まってしまったら、次に動くのにかえって時間がかかるんですよ」

だから34歳のT-岡田も、ずっと動いていたのだろう。このオフは、連日のように大阪・舞洲の球団施設に足を運び、打撃練習を欠かさず行ったという。

「休んだ方が、動けなくなるんですよね。(同じ年の)安達(了一)みたいな“ちょこちょこ系”だったら、いいんでしょうけどね」

 同じ1988年生まれの相棒をちょっぴりいじりながらの現状報告。ただ、その充実のトレーニングぶりを物語るように、体も引き締まってみえた。

「体重は、変わってないんですよ。104キロですね」

 これで、十分に動けている。その手応えが言葉の端々ににじみ出ている。迷いの色がない、どっしりとしたバッティングフォーム。それこそが、T-岡田の“進化の証”であり、覚悟の裏返しでもある。

「年齢も年齢ですから」

 25年ぶりの優勝を果たした昨季に続き、今季のオリックスにも「強さ」の裏付けがある。

2年連続首位打者の吉田正尚という「打線の中軸」に揺るぎはない。杉本裕太郎は、プロ6年目の昨季、30歳の遅咲きで本塁打王に輝き、4番打者に定着した。T-岡田は、シートノックで一塁に入っている。2014年にはゴールデングラブ賞にも輝いたポジションでもあるから違和感はない。

今季の起用法は、一塁かDHが増えるだろう。外国人のランベル・ラベロは右だから、相手投手による併用になる可能性もある。疲労度を考えて、普段はレフトを守る吉田正をDHに起用するといったことも出てくるだろう。

「ダメで、年俸下げられるくらいで終わったらいいですけどね。年齢も年齢ですから」

 3年契約の3年目。試合に出られなくなれば、年齢と絡めても、野球人生は決して安泰ではない。その“危機感”も芽生えてくるのが、34歳という年齢でもある。そのベテランにとって、昨季の優勝は、さらなる“高み”を目指す、新たなるモチベーションになった。

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